2012年12月28日



2012年12月27日
猫はその魔性故にアーティストにとって、創造の霊感の源泉である。


横尾忠則現代美術館にて公開制作 左端:あがた森魚さん 右端:磯崎憲一郎さん

2012年12月26日
美術館に猫を! と申し出たら却下されたことをツイートしたら、物凄い数の人達から「是非」という反応が続々入ってきています。エルミタージュ美術館には猫が飼われているそーです。横尾忠則現代美術館の方々、常識にしばられていませんか? 頭を柔らかく!!!
美術館に猫を! 賛同の方美術館にツイートを! @YTmocaStaff
エルミタージュ美術館内に約50匹の猫が暮らしているという。エルミタージュでは年1回猫のイベントを行い、バスツアーまで出ており、市民も応援しているという。猫の日には学芸員が猫にちなんだ作品を展示している。横尾忠則現代美術館も真剣に考えてもらいたい。

2012年12月25日
立ったりしゃがんだりで腰が痛くなった公開制作だった。このことが運動になったのか、ホテルだというのによく眠れた。帰りの新幹線でもウトウト。描いている時でも眠かった。
あがた森魚さんが来て、歌まで歌ってくれて盛り上がった。今度は正式にライブをやってもらいたい。芥川賞作家の磯崎憲一郎さんと3人でトークもする。公開制作の作品来春出る小説集の装幀に希望。小説集のタイトルを絵のタイトルにしよう。
今朝はオイルマッサージで公開制作の疲れを取ってもらう。がマッサージで別の疲れが出るが、これは心地よい。
2回に分けた公開制作では150号1点、100号2点完成。来春3月からの次の展覧会に出品するが、それまでは1階のフロアーに制作時のまま展示されているので、どーぞ。
宮城まり子さんから毎年ねむの木学園の生徒の描いた絵のカレンダーを送って下さるが、いつもその絵に感動する。無垢の魂が裸のまま顔を出している
神戸のぼくの美術館に事務所にいる4匹の猫を飼ってもらうよう要請したけど瞬時に却下。猫のいる美術館なんて世界にもないので最高だと思うし、来客者も喜ぶと思うんだけどなあ。

ヘッセは現実逃避のために絵を描いていたけれど、するとぼくは常に現実逃避をしているというわけか。


2012年12月21日
冬至で日が最も短いが、これから一日一日長くなっていくかと思うと身体に希望が湧く。日が短いと身体に来る。
生まれ変ったら、あーして、こうーして、そーなりたいと思うが、やっぱりこの寸善尺魔のこの世には未練ないかも。転生の反復はもういい。

横浜が終ったら、その足で頭を切り換えて神戸へ。

明日、横浜美術館で国芳について学芸員の内田さんとスライドを見ながらトークする。内田さんの学識的な解説にぼくの出たとこ勝負のカジュアルな私論で行こう。

機内で就寝中、ふと目が醒めて、窓の外を見たくなった。雲海から一本の光が上昇した。雲の切れ間からの街の灯だと思った。実はそれがオーロラの発生する瞬間だった。全く非現実的な神秘だった。そして機はオーロラの中をくぐり抜けながら飛行した。スケッチを描きまくった。
公開制作はY字路とオーロラが合体したのを描いている。アメリカに行く時、深夜に物凄いオーロラを4時間見せられた。乗客は誰も見ていなかった。コクピットのパイロットとスチュアデスとぼくだけだ。騒ぎを起こさせたくないからだ。

ミック・ジャガーは言う。「大事なのは、大人になることではない、大人にならないことが大事なんだ」。ぼくも全く同意見だ。創造の核はアンファンテリズムだからだ。

23日は2度目の公開制作を神戸の横尾忠則現代美術館で行う。この日なぜか芥川賞作家の磯崎憲一郎さんと音楽家のあがた森魚さんが別々に来ますよ。サプライズと考えたがファンのために一報!

ストーンズの取材の時、新沼謙治の話がでたが、彼等が帰った直後新沼さんが電話を掛けてきたこの共時性! 彼のポートレートがえらい気に入ってそのお礼だった。「美しい、美しい」と喜んでくれた。彼に会った人は誰もが好きになる素朴な人だ。

やがてインターネット音楽サイトのBARKS ( http://www.barks.jp/news/ )に数回にわたって出るだろう。

ワードレコーズの並木さん、ライターの山崎さん、ストーンズ専属カメラマン有賀さんらストーンズのポスターを作ったことなど音楽に関する取材で来訪。ストーンズのDVD、CDなど沢山いただく。ミック・ジャガーとの関わりなど話す。

久し振りにボブ・ディランの新作 "Tempest" を聴く。以前来日した時(細野晴臣さんと高橋ユキヒロさんと)は容姿の衰えを見たけれど、曲は相変らず変化に富み、階段をゆっくり一歩一歩昇っていく物語りを語ってくれる。
ディランのアルバムデザインはいつも素気ない。1984年頃、ディランからアルバムのデザインを頼まれたことがあるが翌日からイタリアに行くために描けなかったことがある。実現したことより実現しなかったことの方が思い出になることもある。
どうしたことか今日は時間が全然進んでくれない。一日中色んなことをし過ぎたからだろうか。忙しいと時間の進行が早い。今日は色んなことをしたけれど忙しいとは思わなかった。知らぬ内に時間を支配していたのかな。時間は宇宙の領域なのか、ぼくには時間のことはよく解らない。
短いはずの冬至だというのにこんなに一日が長い。ぼくの体内時間はどうやら夏至らしい。
ブライアン・フェリーを聴く。彼の曲はディランのように時間を延長させる秘儀の術に満ちている。
ヘッセの老境に書いた物を読んでいると老年を生きる期待のようなものが湧いてくることがあるが、それが死の学びと言うものなのだろうか。
今日は時間があり過ぎたのでついついつぶやき過ぎた。

2012年12月20日
ぼくの身体は日本列島みたいに次々と災難が襲ってくる。右手の腱鞘炎だと思っていたら手首から先き全体が痛み出した。若い頃、右親指を骨折した時、口に筆を食わえてB全のポスターを描いたことがあったが、まさか油絵は描けまい。
文章なら手が言うこときかなくても口述筆記があるけれど、絵の口述描写は文のように正確にはいかない。
蜷川実花さん、「ユリイカ」ぼくの特集号ほぼ完売の模様。蜷川さんの表紙写真のお陰です。
舞台、映画、コンサートの全ポスターを集めた「横尾劇場―演劇・映画・コンサートポスター」というハンディな本が出ました(DNP文化振興財団)。表紙のカバーが3種あり、お好みのカバーに取り替えることが可能。

2012年12月19日
成城に鯛焼き屋ができた。早速買って食べた。路地の店で見つけるのが難しい。場所は言わない。自分で見つけた方が感動的だ。ヒントは北口。徒歩1~2分。
今年は海外の美術館7館に出品した。ギャラリーでの個展1つ。作品だけが旅をした。来年は国内の美術館4館が決まっている。意外と日本を知らないので国内の旅は楽しみ。国内でも枕が変るだけで時差ボケになることもある。
今年もゆっくりだったけれど、来年もゆっくり行きたい。不思議なもので、加齢と共に時間が失くなっていくのに、なぜかゆっくりゆっくりと生活したくなる。
ヘルマン・ヘッセの老境はゆっくり、ゆっくりと生活をしているけれど、ヘッセが見本だ。
このところ絵は休んでいるのに腱鞘炎で右の親指が痛む。絵を休んでいるので、指がウズウズしているのかな。
「ユリイカ」(11月号)の個人特集号が出版社にもなく、大変好評らしい。色んな評者の評論集という感じ。運よく書店に在庫があれば手に取って見て下さい。
ローリングストーンズのDVDを買った人先着200名にストーンズのために作ったポスターがプレゼントされる。1960年の「よだれ」の絵を当時、ニースのコンサートで使いたいとミックから連絡があったが原稿送付の手違いで彼の手に届かなかった。それが今回再びミックのオファーで決まった。

2012年12月18日
未読の本が家の中に山積されているのに、読む気がしない。そんな時、本屋でまとめ買いして、その足で公園に行き、そこで読む。すると読みぐせがついて、また読書の習慣ができる。
ところで今年読んだ本は? と考えると結局書評のために読んだ本しかなかった。
今までは新幹線が読書時間だったけれど、最近は読書時間がもったいなく思い、窓外の流れる景色を眺めるようにしている。読書で思考をフル回転するより、思考を静止する方が心身にいいことがわかった。
一日に百語づつ位忘れていく。いいような気もするし、悪いような気もするが、別に言葉を商売にしている仕事ではないので、まっ、いいか。
耳鳴りと難聴がひどいので、人の話が半分位しか聞こえない。だからいつもとぼけたような顔をしているはずだ。
ここ数年来、関西発信でぼくの贋作々品をかなり頻繁に制作し、それを販売している人間(制作者と売人は別人の模様)がいます。画面にデカデカとサインを入れています。全部ニセ作品です。手に入れないようにして下さい。怪しい作品はご一報下さい。

2012年12月17日
胃の内視鏡を撮ろうと思って病院に行ったら、6月に撮ったと言われ、ガッカリする。その覚悟で行ったのに。

2012年12月14日
こむ(ぶ?)らがえりがまだ完治しない。歩くことには困らないけれど、むしろ小さい動作の時の方が痛む。加齢と共に治りが遅い。老齢は時間と共生するしかない。
今朝の朝日新聞がマヤ暦が12月21~23日で終っていることが世界の終末では? と、わりかし真面目に海外の情報と共に取り上げている。にもかかわらず、来年のスケジュールが次々と決まっていく。

2012年12月13日
糸井重里さんの「ほぼ日」で公開制作の様子を徹底的に映像で見せてくれています。長篇です。糸井さんも会場に乱入してくれました。トークなども。最後はインドカレー。短篇ドキュメントを見ているよう。

2012年12月11日
2日続いて寝床で足がつる。今日のはきつくて、まいった。足をもみほぐして少しはましになったが、結局家の中を歩き廻ったのがよかった。とにかく日替りメニューで、身体のどこかが異変を起こす。
加齢と共に肉体を意識しない日はない。これっていいことだと思う。
足のせいにして久し振りに家に居る。外出したり、アトリエにいるのに比べると家の中に居ると何んとなく気分は純文学っぽくなる。

2012年12月10日
これが六甲おろしか、本当に風が強くて寒い。六甲のマ裾野の青谷に住んでいた頃はこんなに寒いとは思わなかった。それにしても連日沢山の人が公開制作に足を運んでくれて、その割には中々進転しない。描く方も観る方も時間と闘っている。
もう忘れて、中々思い出せない神戸時代の知人が訪ねてくれるけれど、空白の時間は埋めようがない。
美術館から元住んでいた所が見えるけれど、まだ訪ねていない。昔の地元で展覧会をしたり、絵を描いているのが、どう考えても不思議でならない。19才から24才まで神戸に住んでいたのに、まだエトランゼだ。
糸井重里さんに公開制作の場に乱入してもらってトークするが、夕食に行くタクシーの中もインドカレーを食べている最中も2人の会話はトークとペースが変らず、全く同じだと学芸課長の山本さんは驚きっぱなし――だって。糸井さん!
細野晴臣さんのコンサートは超満員。この場にぼくがいなかったのはきっと不満だったんじゃないかな。「だから悪口が言える」と言ったそーだが、悪口は聞いていない。次回の時は必ず行くからね。細野さん!
神戸はやっぱりいいなあ。アトリエを移すか! 本当はアトリエがあちこちにあるのが理想だ。ぼくのように環境によって作品が変るタイプの人間にとっては努力しないで作品が勝手に変ってくれる。
12/15(土)– 29(土)日替り・2本立で高倉健主演映画30本を新文芸坐で上映される。「昭和残侠伝」、「日本侠客伝」、「夜叉」、「幸福の黄色いハンカチ」、「ホタル」、「鉄道員ぽっぽや」などなど、この機会を見逃さないよう!
今月23日24日、この間の続きの絵を仕上げにまた神戸へ行く。シャケみたいに帰巣本能が働くのか、神戸は相性がいいみたい。六甲おろしだけは相性が悪い。今日の東京も何おろしか知らないけれど寒い。

2012年12月6日
美術館開館以来、初めて神戸に来る。明日からの公開制作のためだ。場所変れば品変るので、どんな品になるやら。3日間で仕上げるつもりはないので、遅々として進まないそのプロセスに付き合ってもらうのも忍耐のいる仕事? になると思いますよ。

2012年12月5日
回復を祈っていたのに、中村勘三郎さんの死が現実になってしまった。残念で残念でならない。中村座での「法界坊」を観たあと、楽屋で会ったのが最後だった。ご冥福をお祈りするしかない。
中村座のポスターを勘三郎さんから依頼され、そのポスターに大喜びしていただき、お互いにポスターにサインの交換をした。永久保存にしたい。

2012年12月4日
7(金)、8(土)、9(日)と神戸で公開制作。まだ描く絵が決まらない。8日には糸井重里さんが「ほぼ日」のため公開制作の取材に。糸井さん次第で臨時トークがあるかも。またはないかも。

以前禅寺に参禅していた時、落葉を毎日掃くように言われたが、絨毯のような落葉がきれいなので、掃かない方がいいと言った。まあ理屈を言わないで掃きなさいと言われた。美の概念よりも、掃く行為が大事だと言われた。
3D映画を観ていると、画面の中に飛び込んでみたいと思うことがあるが、考えて見れば、この現実世界は3Dである。われわれは毎日3Dの中で生活をしていることを忘れているだけだ。
3D現実の中で立体作品を作るより、平面作品(絵画)を作ることの方が反自然的行為だ。
平面のキャンバス内でキュビスムを探究したのは、この世界が立体であることに気づいていなかったからか。どーでもいいことだが考察の余地ありだ。

2012年12月3日
TBSドラマ「さすらいのプラチナワゴン~歌手・美波丈太朗の事件簿~」(9時より)が郷里西脇が舞台とか。ちょっと見てみたい気もするけれど。
なぜ反復? それは絵が未完だから。だから完成を夢見て。だけどまた未完で終る。だから永遠に反復は終らない。自分の人生そのまま。

目下、神戸の横尾忠則現代美術館で開催中の「反反復復反復」展では自作の複製、引用、借用、模写、描き直し、変換、シミュレーション、贋作、剽窃、盗作をこれでもかと行っている。同一モチーフをジャクスタポジション(平置)で展開している。ぜひ現物展示を……。

紅葉って今までそんなに興味がなく、むしろ汚いと思っていたが、自分の絵まで紅葉したかと思うと、急に紅葉が好きになった。こんなに上手く反対色を見事に混ざり合わせるなんて、やっぱり自然は芸術家だ。

フト気がつくとバルコニーを囲む樹木の色と今描いている絵の色が全く同じで驚いている。全く意識がなかったけれど、こんなことってあるんだなあ。

アトリエを囲む森の樹木が紅葉で色づいている。緑と補色関係の2、3種類の褐色がべたべたと緑の上に絵具を塗りたくったようだ。そんな光景になぜか高峰三枝子のタンゴ風の歌がピッタリ合うんだなあ。
不眠が続くと眠り方を忘れてしまうが、再び眠れるようになると不眠の仕方を忘れてしまう。結構なことだ。
不眠の治し方は、とにかく徹底的に不眠に拘り、不眠を研究し、不眠にいいことは何でも取り入れ、頭の中を不眠一色にしてしまうことだ。その内馬鹿馬鹿しくなって熟睡できる。横尾式不眠撃退法。
年令と共にテーマはどうでもよくなる。決め手は発想だけだ。
わが家の老猫は最近声変りがして、部屋に入ってくる時は電車がホームに突入してくるような震動を伴った割れるような大声を上げる。他の時は普通。
12月は神戸の横尾忠則現代美術館で2回に亘っての公開制作を行う。何を描くかは出た時勝負。世阿弥みたいに客の顔を見てから態度を決めよう。


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