11月30日
奇縁まんだら展」のために西脇に帰省している。200数十点の肖像画が美術館(西脇市岡之山美術館)の壁一杯に展示されている。この風景を見るともっと沢山描きたくなった。

西脇で食べたうどんは美味しかった。どの店のうどんも美味しいというわけではない。店名は忘れたが、あんまり美味しいので特別に取り寄せることにした。

山は紅葉だが、決して美しいとはいえない。むしろ薄汚れている。なんだか鉄が錆びたような色だ。

ホテルの窓から見る町は、町とはいえないほど町の灯がまばらだ。町はもっと明るくなければいけない。




横尾タマ

11月28日
○本日の寄贈本
よしもとばななさんより「どんぐり姉妹」としもとばなな著。
宮内勝典さんより「魔王の愛

近所のクリニックに行く。腸に関する薬をもらう。さらに大腸の内視鏡検査をすることになった。気温が低い。12〜13度位か。事務所で送られてきた本や雑誌に目を通す。近頃朝日新聞の書評以外にも文庫本の解説文を読まれることがある。ぼくは書評屋さんじゃないので。

11月26日
○本日の寄贈本
青幻舎より「北斎漫画Ⅰ/江戸百態」北斎著
天野祐吉さんより「可士和式」天野祐吉/佐藤可士和著

11月25日
今日も海外からの滝のポストカードが届いた。珍しい滝のポストカードに嬉しくなる。毎日のように届き、お礼状にぼくの滝を描いたポストカードを送っているが、このことが日課になって楽しい。 国内は勿論、海外在住の方、ぜひご協力下さい

11月24日
○本日の寄贈本
藤原書店より「アナール1929-2010」/「魔女とシャヴァリ」
日本サムスン株式会社より「シルクロードよ永遠なれ」

11月23日
読みたい本がないので自署「猫背の目線」を読んでみた。この本を読んだ人からよく「面白い」(オカシイという意味だ)といわれるので読んでみたら、やっぱり面白い。こんな面白い本があるのかいなと思うほど面白かった。だから自分はバカかなとも思った。

道を歩いていたら植木屋が高い木の枝を払っていた。しばらく立ち止まって見ていたら、目にゴミが入った。ゴミが鼻や口や耳に入った話はあんまり聞かない。ゴミはやっぱり目が好きらしい。

お腹が痛くて、あらゆる検査をしたが「正常」だといわれる。客観的に正常でも、主観的には異常なんだ。病気を決めるのは医者か、患者やか、よくわからん。ことごとく探求してやろうと思う。

本棚にある本を引っぱり出して中を開くと、いたるところに棒線を引いているが読んだ記憶はない。でも読んでいるのだ。何ひとつ記憶していない。あの読書の時間は一体何だったんだ。ただの時間つぶしだったら、もっと身体が記憶することをすべきだった。

読書は一種の知的強迫観念だ。気休めになる笑いみたいなもんだ。薬には副作用があるように読書にも副作用があるんじゃないか。自分で運動しないで、人にマッサージやストレッチをしてもらっているようなもんだ。以上ぼくの場合である。

11月22日
本日の寄贈本
ハヤカワ文庫より「アースバウンド」リチャード・マシスン著/尾之上浩司訳
清田益章さんより「本物のパワースポット」清田益章著

11月20日
昨日は仙台の東北文化大学でトーク。大学でしゃべるということはほとんどない。多摩美術大学の大学院の先生を辞めた時以来だ。作家の場合、創造と教育は矛盾しているのでぼくはどうも学校に向いていない。

帰りに東京駅構内で鯛焼きを買う。部厚い2匹の鯛の皮を合わせてその真中にサンドイッチみたいにあんこが入っている。食べれたものではない。何でも度が超えない方がいい。

前にも書いたがアンコがシッポまで入っているのも邪道。シッポは最後に口直しに、シャリシャリと音を立てて食べるものだ。

秋保温泉の宿の仲居さんが中学のころもらってきた猫が2年半家にいて、その後5年間消息不明。 ある日お母さんが山を越えた所に行ったら、そこにその猫がいた。5年も経っているのに仲居さんのことを覚えていて、いつもしていたように、胸をピョンと飛び乗ってきたという。

11月19日
東京駅が大改築工事中で方向指示板ばかり見ながら歩いていた。だけどその指示板の情報が読み取れず、ウロチョロするので駅に1時間前に着くようにしている。この間から、北陸や東北新幹線ばかりで東京の田舎者まる出しだ。迷うのは老人だからではなく、子供だからだ


一人旅に出ると一日が一生の出来事のヒナ形に思える。

東北新幹線のドアは出る時は自動で、入る時も当然自動だと思っていたら一向に開かない。デッキに取り残されたと思ったら、実は手動だった。 どっちかにしてもらいたい。その内日本家屋のふすまも障子も自動になるかもしれない。

3年前に仙台の秋保(あきう)温泉に泊った夜、夢に伊達政宗公が出てきたことがあった。伊達政宗公が祀ってあるという瑞凰殿に参る。夢にもう一度出て来て欲しいとは夢のまた夢であろうか。

秋保の滝があるというので絵葉書はないだろうかと色んな旅館に聞いてもらったところたった一枚持っていた旅館があり、仲居さんが持ってきてくれた。貴重な絵葉書だ。

しばらく滝から心が離れていたが、ローザンヌでのマルセル・デュシャンの滝のプロジェクトで滝の絵葉書のインスタレーションを発表したらボストン美術館からも依頼があり、この件で皆様に目下滝の絵葉書をお願いしていますが、さらに別件でまた別のプロジェクトのオファーがあり、再び滝が動き出した。

11月18日
東京駅が大改築工事中で方向指示板ばかり見ながら歩いていた。だけどその指示板の情報が読み取れず、ウロチョロするので駅に1時間前に着くようにしている。この間から、北陸や東北新幹線ばかりで東京の田舎者まる出しだ。迷うのは老人だからではなく、子供だからだ。

一人旅に出ると一日が一生の出来事のヒナ形に思える。

東北新幹線のドアは出る時は自動で、入る時も当然自動だと思っていたら一向に開かない。デッキに取り残されたと思ったら、実は手動だった。どっちかにしてもらいたい。その内日本家屋のふすまも障子も自動になるかもしれない。

11月17日
病院に行くのは怖いという人が多い。何か病巣が発見されるのではないかとか、検査(例えば内視鏡カメラ)を恐れるその想像力が一歩積極的になれないからだと思う。一度やっちゃえば、どーってことないよ。来週はどんな小さい病巣でも発見するペットを受けることにした。怖いゾ〜〜。

11月15日
○本日の寄贈本
根本隆一郎さんより「野口久光の世界」監修・根本隆一郎(開発社)
井上隆史さんより「三島由紀夫幻の遺作を読む」井上隆史著(光文社新書)
平凡社より「世阿弥」別冊太陽
鼎書房より「越境する三島由紀夫」責任編集/松本徹・佐藤秀明・井上隆史・山中剛史
PIE BOOKSより「69秘められたエロス」ジャン=マニュエル・トレモン/訳・田中雅志

草津温泉から帰京したら寄贈本や郵便物が沢山たまっていて、返事など書く。温泉効果はこれからだと思うが、まだ身体はほてっている。温泉は免疫効果があるので病気をしない身体になるためには「これだ!」

11月13日
久し振りに草津でラーメン屋に入って味噌ラーメンを食べた。モヤシばかりだった。あとでチャーシュー麺にすればよかったと思った。

光泉寺には薬師如来が祀られているので130段位の石段を上がる。腰が痛いのに無理したかも。下方に湯畑が見える。硫黄の匂いがここまで立ち込めてくる。町全体が薬漬けだ。

日経新聞の「奇縁まんだら」が14日を最後にしばらく休載になります。再会まで待っていて下さい。

旅先の時間の経つのは実に遅い。古代の時間のようだ。昨日も今日も明日も全く変わらない。日常と非日常は相対しない。日常の中に非日常があり、非日常の中に日常がある。

人間の体の内と外は別物ではない。メビウスの輪やクラインの壷と変わらないような気がする。

草津駅からバスに乗る。乗り合いバスなど乗ったことがないので、楽しかったが、このバスで行き先が間違っているのかばかり心配だった。電車の乗り換えもおっかなビックリだったが、ちゃんと目的地に着くもんだ。

11月11日
旅館の社長さんと湯の花畑から西(さい)の河原を散歩する。変化に富んだ散歩コース。草津は標高が高く、空気が汚染されず透明で、辺り一面の温泉の湯気で喘息は出ない。ハワイでの喘息治療に行かずとも草津温泉で十分だ。

どこの温泉地もシャッター通りが目立つが、草津温泉は実に活気がある。一日中部屋の中とロビーでお茶を飲んだりしていたが、今日初めて外出して、町の活気に驚いた。温泉エネルギーが充満している。

一日に三回入浴は着物を脱いで裸になったり着たりで結構忙しい。 全く非日常的だ。その非日常的が草津では日常的になってきた。

部屋ではエッセイを書いているが、温泉ボケのためか、支離滅裂だ。文章では困るが絵だったらいいかも。

11月10日
草津に来るまで、ぼくにとっては冒険だった。乗り換えなどが次々とあったり、とにかく道中は全然落ちつかなかったが、なんだかわからないまま無事宿泊旅館に着いていた。こんな旅のプロセスは全く絵の制作で、どこに着地するかわからないのとよく似ている。

昼と夕方の2回温泉に入る。誰もいなかったので気持ちいい。ただし3分以上の入浴は泉質が強いので長湯は禁物。以前この湯で帯状疱疹の後遺症が治ったので、今回は感謝の入浴だ。

部屋の窓から紅葉が迫ってくる。空の青の樹々の紅色のコントラストがフォービズムの色彩を連想させてくれる。

部屋では本を読んだり、エッセイを書いたり、あっという間に書斎の様相を呈して、まるでわが家のよう。

11月9日
○本日の寄贈本
及川俊哉さんより「ハワイアン弁財天」及川俊哉著
西川隆範さんより「シュタイナー神仏と人間」
ルドルフ・シュタイナー著/西川隆範編訳

明日から草津温泉。何ヶ月も苦しんだ退場疱疹の後遺症がたった二度の入浴で治った温泉。ところが2年近く温泉に行っていないせいか、再び痛みが出てきた。この際本でも持って静養してきます。また草津の散歩コースに西の河原がある。湯治は、こちらとあちらの意味があるそうだ。つまり賽の河原なんだ。

「文學界」12月号で三島由紀夫についてぼくの年令の半分以下の若い作家3人と座談会をしていますが、今や三島由紀夫を読む若い人って余りいないそうですね。

11月8日
○本日の寄贈本
内藤啓子さんより「赤毛のなっちゃん」内藤啓子著

今日はバンクーバー・アートギャラリーの館長、学芸員、美術館サポーター15人ばかり来訪。アトリエは普段でも物、物、物なのに、今日は人、物、人、物、人、物でいっぱいになった。

本を読むのも悪くないけれど、何も覚えていない。何も身についていない。すっかり疲れて、何もかも忘れている。時間をムダにしてしまった本が実に多い。読書は一種の脅迫観念だ。

歩いている間にお腹と腰の痛みが少しずつ取れてきたようだ。人間の体は自然に治癒されるようになっているが、それでも病院に行くのは安心材料が欲しいためだ。

明日、またまた病院の検査に行く。ぼくは検査魔らしい。病院の怖い人は病院に行くと恐怖症がなくなりますよ。

11月5日
○本日の寄贈本
横山郁代より「三島由紀夫の来た夏」横山郁代著
~毎年下田に訪れた三島由紀夫が、当時中学生だった著者に会い、遠くから近くから三島の素顔を純粋にユーモラスに語る夢と希望とセンチメンタルなノスタルジーな少女の魂の記憶です。他の三島本とは全く違った三島の肌に直接触れるような優しさが味わえます。

広島の方から滝のポストカードを中心に他のポストカード、その他様々なグッズをパッケージに積めて沢山送っていただきました。ちょっと驚いていますが、残念ながら送り主の方が不明です。お礼状も出せず困っています。僕の猫好きをごぞんじか、猫ジャレなどの玩具も入っています。女性の方ではないかと想像しています。お便りお待ちしています。

体が温まり過ぎると眠れないですね。体は少し冷えてる方が睡魔が来てくれます。寝る時、あまり熱い風呂は逆に不眠を誘います。温泉に入ると眠りがさまたげられるのはそのせいでしょう。来週、草津温泉で少し静養したいと思っています。研究してきます。

このブログ(VISION)はやや日誌的ですが、ツイッターにはその日の思索(雑念と呼んでいます)を流しています。ツイッターはただただ流れていきます。追っかける人もいないでしょう。湧いて消える運命です。それらもヒヤカシて下さい。
http://twitter.com/tadanoriyokoo

11月4日
同じ町に住みながら、なかなか会うことが少なかった小澤正爾さんとこの間から町でよく会うようになった。まだ腰が痛むらしく、折りたたみ式の杖代わりの椅子を手にしながら歩いておられるが、ガンも克服してすごく元気だ。それと、しょっ中会うのは作家の磯崎憲一郎さんだ。もう奇跡といっていいほどよく会う。その都度、お茶を誘うのだが、いつも家庭サービスのために時間がないという。ぼくなんか家庭サービスなどほとんどしたことがないので、奇異に感じる。新しいタイプの作家なのかも知れない。

福島の温泉へ行ったことが、再び温泉熱に火をつけたのか、来週は草津温泉に行くことにした。2年間毎月行っていたが、ここ2年間は一度も行っていなかったが、老後はやっぱり温泉生活もいいかも知れない。毎月というわけにはいかないだろうけれど、2ヶ月に一回は行ってみたい。健康な老境を生きるためには年寄り臭くても温泉がいちばんだ。

11月3日
本屋に行くとこの間、朝日の書評で取り上げた「梅棹忠夫・語る」が急に山積みされた。その横に評書の本もというのか。ついでにぼくの「猫背の目線」も並べていた。書評も一種のお布施だ。

午後からズーッと公園の芝生の上で本を読みながら日光を浴びる。冬になると特に体を陽に当てるのがいい。一日の2〜3時間は青空書斎で仕事をする。川の流れの音や、鳥の鳴き声を耳にするだけで仕事以上の仕事をしたような気になる。

地面に属した色はわかるのだが、形のない空の色は実に不思議で神秘だ。しかも空は常に変化している。想像力の源泉だ。

11月2日
○本日の寄贈本
青土社より「指紋論」橋本一径著
幻戯書房・辺見じゅんさんより「20世紀断層」野坂昭如著

ツイッターにも書いたが今日は半日以上病院で遊ぶ。広大な病院だから、うろついていてもあきない。何しろ一日の患者さん2000人?だっけ。広い待ち合い室は空港のロビーみたい。

自販機に500円入れてスポーツドリンクを買ったけど、お釣りが出てこない。横のおじさんがこのボタンを押したら?というのでその通りにしたら、またもう1本でてきた。これあげる、と言ったけど貰ってくれなかった。いろんな器具をいじっている間にお釣りがでてきた。

採血はそれほど嫌ではないけど、好きでもない。血を吸い取っているところが怖くて見れない。今日は4本だけど、この前なんか8本も採られた。

滝のポストカードを送っていただくのは嬉しいけれど、住所のない人がいるので、お礼状が出せず困っています。住所も書いて下さい。

11月1日
○本日の寄贈本
三島由紀夫研究会より「憂国忌の四十年」三島由紀夫研究会著
平凡社より「北斎決定版」別冊太陽/監修・浅野秀剛


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