4月30日
金沢21世紀美術館での「横尾工房」のサンプル作品を描き始める。1966年に絵画作品をスタートした時の第一作目(澁澤龍彦氏所蔵)をサイズを変えて描くことにした。イメージも多少変わるが、自作の模写はなかなか難しい。また何倍も時間がかかる。当時のように自由に描けないまどろっこしさがある。そのまどろっこしさがまた模写の楽しみでもある。過去の自分と同一化できないまどろっこしさである。
○本日送られてきた本
糸井重里さんより「ともだちがやって来た。」/「ブイヨンの気持ち。」糸井重里著
この2冊は糸井家のブイヨンという犬の写真日記だそうです。特に撮られるためにブイヨンが何かしているわけでもなさそうな風に撮った写真である。中にはヤラセをヤラセでなくヤラセた写真もありです。わが家のタマではこんな本は出来ません。
4月29日
アトリエで絵を描くには覚悟がいる。ところが公開制になるとこんな覚悟は対して必要としない。場が設定されると催眠術にかかったようにスーッと絵に入れる。これから絵は公開制作でないと描けなくなるのではないかとさえ思えてくる。さあ困った。まるで役者かスポーツ選手みたいになってきたのだろうか。
メダカと金魚を飼っただけで生活、いや人生が変わりそうだ。特にメダカとは何時間でも遊べる。まるでサッカーを観ているようだ。エサをくわえて泳ぎ廻っている。それを追う別の選手。自分も水槽の中に入ってメダカになってみたいと思う。
○本日送られて来た本
淡交社より「龍安寺」杉本俊太郎/道浦母都子共著
ミナさん
面白い夢ですね。ぼくの昔の夢に似ています。最近は現実の延長そのままの夢で無意識がないも同然です。といって現実が夢のようにシュールレアリズム的でもないものです。
牧賢司さん
現在進行中の小説(ポルトガル→パンタナール→スリナガル)はやっぱり三部作揃ったところ(単行本)で読んでいただきたいですね。
4月28日
○送られてきた本
思潮社より「She her her」佐藤勇介著
今夜は坂本龍一さんのコンサートに行く。去年秋にニューヨークで会って以来。コンサートはもっと久し振りだ。彼から送られてきたCDはアトリエでよく聴いているので、新曲のイメージはおおよそつかめる。感想は後日。
4月27日
○本日送られてきた本
川崎市岡本太郎美術館「岡本太郎の絵画」川崎市岡本太郎美術館編
三浦良一さん(N.Y.在)より「奥さまはニューヨーカー」岡田光世(原作)、島本真紀子(漫画)
4月24日
書斎部屋(というのを作った)にメダカが来た。20匹来た。親しくしている薬局が閉鎖されることになったので、そこからやって来たメダカだ。来るまでは恐れていた連中が、新しい住まいに移った途端、ドーピングメダカみたいに物凄く元気になった。メダカから目が離せず、スポーツ番組を見ているよりずっと面白い。
篠山紀信さんが送ってくれた ”NUDE by KISHIN” が面白い。戦慄的なNUDE美に見入ってしまう。彼のNUDEの歴史が過去から現在までタテに流れているのではなく、時間を空間化させて ”Be here now” なのだ。
○本日頂いた本
福沢誉子さんより「地上で働く天使たち」増永順子編/後藤優訳
○本日送られてきた本
酒井忠康さんより「早世の天才画家」酒井忠康
講談社現代新書より
「入門哲学としての仏教」竹村牧男著
「幽霊屋敷の文化史」加藤耕一著
「日本再生の戦略」天児慧著
「経済成長という病」平河克美著
4月22日
○本日送られてきた本
高橋克彦さんより「たまゆらり」高橋克彦著
水島督さん
健康サンダルも履きなれると普通のサンダルになってしまうんでしょうね。だからドンドン、レベルアップさせないと……。その内、マンレイの釘の突き出したアイロンのようなサンダルでないと……。
「元・匿名氏」さん
その内金沢からPCPPPのニューファッション写真お送りします。「雨に歌えば」じゃないけれど天井から雨を降らしてもらいましょう。
4月21日
昨日、青梅市のY字路を撮りに行った。23区以外の都下も東京なのでそっちにも足を伸ばしてみたくなった。「ここも東京?」と思わせるほどの山間部にあるY字路には都心と違って人影がない。無人のY字路がテーマなのでそれは嬉しいのだが、たまにおばあちゃんなどが出てくると、歩みが進まないので彼女が消えるまでの待ち時間の長いこと。また田舎はどこに行っても交通量が多い、個の数だけ車があるので、車抜きで撮るのも一苦労だった。今後も東京の田舎廻りが続く。東京を見直すいい機会でもある。
4月20日
牧賢司さんへ
現在執筆中の小説は三部作(それぞれ100枚位)で(その一部は「文学界」4月号)あと2作も続いて発表の予定ですが、単行本になってから(年末?年始?)続けて読んでいただくと三作の関連性が理解されると思います。それから話は変わりますが、贋作には思想とそれなりの覚悟がないと評判を落としますよ。
須見恭子さんへ
また来月金沢へPCPPPで出掛けます。場所変われば品変わるので自分でも楽しみです。Y字路はトビ服でいいんですが、今度は雨の絵になりそう(?)なので、レインハットとレインコートに長靴で傘をさして描くかも、です。
4月18日
この間イチローが張本に並ぶ記録を達成したのが満塁ホームランだった。そのダイジェスト試合が夜遅く(P.M.10時頃)放送されていた時、イチローの背番号が42だった。あれっ?51じゃなくて42だったっけ、と今まで51だと思っていたけど間違っていたのかと思った。だけど投げた相手チームの投手も42をつけている。次のバッターも42だし、彼が一塁に走った時、相手チームの一塁手も42だ。これは一体どーいうことなのかさっぱりわからない。またイチローの満塁ホームランを演出で、わざとパフォーマンスをしているのだろうか、、、、、、、、?やがて両チームの選手全員の背番号が42だとわかった。実にふざけているが、選手達はそんなことおかまいなく真剣にプレーをしている。するとこのことはぼくの方に問題があるのだろうか?知らない内に脳梗塞か何かになって、全員の背番号がそー見えるのかも知れない、、、、、?妻を呼んで「どんな風に見えるか?」と聞いてみたいとも思ったが、もし彼女が「42番なんて誰も付けていないわよ」と言ったら、ぼくは病気か気が狂ったかのどちらかだ。なんだか恐ろしくなってテレビを消して頭からふとんをかぶって寝てしまった。不思議にストンと眠りに落ちた。いや恐怖のために気絶をしたのかも知れない。そして次の日、新聞を見たら、黒人選手が初めて大リーガーになった日とかで、その選手にちなんでこの日は大リーガー全員が42の背番号をつけたそうだ。気が狂ってなくてホッとした。
4月17日
○本日送られてきた本
倉橋正さん「弘法大師の懺悔法」北條宗親著
今日はまた冬に戻ったように寒い。天気のいい日は公園のベンチの川辺の土手の芝生が書斎で、ここで読書や文を書くことにしている。川辺では足元に鯉や、なまずや亀がやってくるので、見ていて飽きない。とにかく自然の動くものを見ていると頭にアルファ波が流れ、心地よい気分になる。
4月16日
○本日送られてきた本
佐藤勇介さんより「She her her」佐藤勇介著
午前中野川の土手の草むらに座って長い間川面を眺める。大きい鯉は1メートルほどある。ヒ鯉もいた。少し小さいやせた鯉がいると思ったらナマズだった。カメも沢山浮いている。鯉が動くたびに川底の泥の臭いが立ち昇ってくるが、この臭いが子供時代を思い出して懐かしい。
アトリエの前に今日初めて蟻が2匹いるのを見たが、この蟻は別の所から来た者だと思う。でも隣の空地にできた遊歩道には蟻が何匹もいた。生き残りだろうか?でも舗道だから風前の灯火の命に違いない。
今日初めてこの遊歩道を歩いた。棚のデザインのあまりのセンスのなさに驚く。棚など全く必要ないのに結構金のかかったどうしようもないデザインで、これじゃ眼が汚染される。
4月15日
昨日は京都の寂庵で瀬戸内寂聴さんと対談した。今日午前中京都駅のホームでバッタリ、10数年振りでショーケンに会った。今朝瀬戸内さんの家に行ってきたという。「エッ、エッ、エッ」何でも借りた大事な本を返却にわざわざ早朝に家を出て、早朝に寂庵へ。ビシッと三つ揃いをきめて。律儀というか礼節の人だ。ぼくの知っているショーケンはこういう人だ。久し振りで京都から新横浜までタップリ話をした。思わぬ旅の連れにいい話を聞かされた。彼から学ぶこと多々あった。帰るなり電話が掛かってきた。
4月13日
■ 引出し(ベッド)で眠るタマ | |
■ 我家の裏庭の桜の絨毯 | |
■ 我家の裏庭の桜の絨毯 | |
■ 金沢の市役所の花園にカイとハナが咲いていた | |
4月11日
しかし、デザインの仕事を止めただけで、こんなに自分の自由にできる時間が多くなったことに驚いているが、これが普通なんじゃないかと思うようになった。だから東京に住んでいても田舎に住んでいるような気分にさせられる。あるいは子供の時間に近づいてきたのかも。
4月10日
金沢では「弁当持たなくても傘は持て」(だったかな、自身ないけど)というほど雨の多い土地らしいが、ぼくが滞在中は、「これって異常気象ですよ」と言わしめたほど連日ピーカン続きでした。また5月にも公開制作をします。それとひとつお願いがあります。それはぼくの1966年の絵画作品(処女作)の模写作品(横尾工房)を募集しています。サイズはF20号でアクリル絵具使用です。原寸のサンプルは用意しています。トレスをして現物そっくりの贋作を作るつもりで描いていただきたいのです。ビルが火事になって窓から裸の女が飛び降りている作品です。くわしいことは金沢21世紀美術館(TEL:076-220-2801)の学芸員の平林さんに問い合わせてみて下さい。すでに30人近い人の参加が決まっています。本当は美術館のアトリエで制作することになっていますが、最寄りで参加希望者がおられましたらどうぞ。勿論、離れた場所(自宅)でも全く不可能というわけではないと思います。ただ説明の理解度が問題ですが。
天国と地獄 Heaven and Hell |
4月9日
○今日送られて来た本
実業之日本社より「モラエス恋遍路」瀬戸内寂聴著
4月8日
金沢にgalois(ガロア)という名の居酒屋があって、その店がY字路の中央に位置していて、黄色の壁に店名がグリーンのネオン。早速PCPPPのテーマになりました。ガロアというのはフランスの数学者で決闘で若くして死んだ人です。そのガロアY字路三部作(150号3点平置)になりそうです。テーマはこちらが探し求めるのではなく向こうからやってくるものです。金沢でなきゃ描けなかった作品です。もうひとつのシリーズは金沢21世紀美術館内にある、ある作家の装置がテーマになります。全て8月1日からの当館での個展で発表されます。
昨夜は兼六園の夜桜見物に行ってきました。池に投影された転倒風景に感動しました。池の中の逆さ桜の中を悠然と泳ぐ鯉は何者?転倒風景は水面の被膜に写し出されているのに水中深くにまだ見ぬこの世ならざぬ底無しの底の底に天空に月が沈んでいました。それを鯛焼きを食べながらいつまでも池の中を覗き込んでいました。
須見恭子さん
久し振りですね。猫の本大事にしていますよ。成城の満開の桜は残念ながら見ることはできません。金沢21世紀での個展タイトルが決まりました。「未完の横尾忠則/君のものはぼくのもの、ぼくのものはぼくのもの」ですが、ドラえもんのジャイアンが「おまえのものはおれのもの、おれのものはおれのもの」と言っていることを知りました。この言葉は子供の頃から模写専門のぼくの哲学になっています。それはそーと「ポルトリガトの舘」評の味わいの深さに何度も繰り返し読ませていただきました。その人物を虚実の時間のパースペクティブの中でとらえておられることにわれながら「ソーカ」と気づかされました。他者としての私、私としての他者、物語の中で初めてあぶり出される私なのですかね。須見さんの評いつも楽しみにしています。次回作「パンタナール奇譚」(仮題)は120枚(以上?)です。続いて30枚の短編をここ金沢で書いています。
4月5日
一昨日から金沢21席美術館で公開制作(PCPPP)を行っている。金沢のY字路である。例のトビ職コスプレで。場所変われば人変わるじゃないけれど、作品が変わる。それが描きがいでもあり、不安でもある。不安があるから描くのだ。不安を克服したらまた不安。だから続けられるのである。
東京を発つ日桜満開宣言で残念だ。金沢は昨日開花宣言。こちらにいる間に兼六公園で満開の桜が見物できそう。
やっと「ポルトリガトの館」の次回作「パンタナール幻想」(仮題)が書けてやれやれ。悔い残すことなく金沢へ。この「ポルトリガト」、「パンタナール」は「マンハッタン」で三部作の小説になる。それぞれが100枚以上になりそう。「ポルトリガトの館」に次いで「文学界」掲載の予定。「ぶるうらんど」はアトリエの隅のソファーに横になって書いたが、どうもアトリエでは絵に対しても小説に対しても申し訳けないので、別に書斎を借りた。「パンタナール幻想」は書斎での第一作である。そのせいか前、前々作とはスタイルが変わった。何でもいい変わることが「私」だから。
イチローが胃潰瘍で開幕欠場が決まった。WBCが終わった頃インタビュアーが4年後のことを聞いた。するとイチローは「4年後まで生きているかどうかわからないよ」と答えた。イチローのような天才は常に死を身近に認識していてもおかしくないが、彼の発言が少し気になっていた。体調が万全でない時にポロッと出る言葉だ。だから気になっていた。
今月から朝日新聞の書評委員になった。その第一回目の書評が出た(5日朝刊)。それもヨーロッパの現代小説について。ヨーロッパの現代小説は60年代にヌーボーロマンの作家の作品を読んで以来だった。読めるかな?という心配はあったが結構面白かった。これからケギライしないで現代小説を読むことにする。
4月2日
Hideaki Soneharaさん
貴重な内容のメールありがとうございました。教わるところ大です。
現在書き上げた小説(「文学界」4月号に発表した『ポルトリガトの館』の次の作品、『ポルトリガト…』は三部作の一作目です)にはあなたが語っておられる内容―というか事象を先取りしている個所があると思いますよ。なかなかのウンチクただただ感心しております。また「文学界」に発表の予定です。感想聞かせてください。
明後日から金沢21世紀美術館の8月からの個展にちなんで現地で公開制作(PCPPP)を行います。金沢のY字路(夜景)がテーマです。他のテーマの作品の制作も考えています。金沢方面の方お待ちしています。
4月1日
わが家の庭には4~5匹の野良がやってくる。別にうちのタマが目当てではない。野良は元気よく歩き廻っているが、うちのタマは引き出しの中で終日眠っている。時々野良がタマのエサを目当てに家の中に入ってくる。その時だけタマは起きてきて追い出しているが、追い出すとまた引き出しに入って眠る。そろそろ暖かくなるのだから外に出れば、と思うが全くその気配はない。これが猫だから我慢できるけれど、もし人間でこんな道楽なヤツがいると息がつまりそうになる。
↑↑ GO TO THE TOP ↑↑