12月31日
第三回「戦争と芸術」展(京都造形芸術大学)に出品するために、戦争という主題で作品を制作した。ところが描いていてちっとも乗らないのである。ーそれはわかった。つまり内発する主題ではないからだ。どっちかというとデザインに似ているからだ。デザインは外部の要求によるものだが、アートはその反対で内部が核である。だから一点だけ描いて中止した。その点自作の過去の中から戦争にちなんだ作品の方が遥かに奥行きと巾がある。近作と旧作を並べるとそこには制作態度の差異がはっきり出てきっと面白いと思う。あと数時間で2009年に
突入する。
大晦日の夜空はマグリットだった。でも下弦の三日月はマグリットは描かない。だから「マグリットではない」
12月30日
去年も今年も正月休みは返上で制作三昧で出掛けることもない。初詣も行かないだろう。まあ天気がよきゃ公園で原稿書きか読書くらいだ。去年の元旦は宝塚だったかな。今年は暮に歌舞伎と宝塚を観たし、そうそう正月明けはディズニーランドへサーカスを観に行く予定だ。歌舞伎、宝塚、サーカス、この三つは共通点が沢山ある。ぼくにとってはインスピレーションの宝庫だ。」ここには少年の視線があるのだ。
12月29日
久し振りに自転車で野川の遊歩道をゆっくり走る。そして公園のベンチで缶紅茶を飲みながら、エッセイと本(『病の神様』の文庫本)のゲラ校正をする。遠くから甲高い子供の声がするが、それがかえってのどかな時間を作ってくれる。微風はあるけれど陽の光の方が暖かいので冷たさは感じない。それでも2時過ぎになると空気が冷えてきたので、あとはアトリエの温室へと移る。
12月28日
画家にも狩猟民族と農耕民族がいるように思うけれどぼくは前者だなあ。同じ所にジッとしてないんだから。すぐスタイルが変わっちゃう。だからジプシーに憧れる。そういうとピカソの最初の恋人フェルナンドはジプシーみたいな美人だった。またバルセロナ時代にはジプシーらの中で生活したこともあったらしい。
12月27日
年末年始はぼくにとってはゴールデン・タイムだ。描く、書く、掻く、欠く、嗅ぐの10日間というわけだ。
YOMIさん
ぼくは「楽しい時はあっという間に過ぎたり、、、、」はしないのです。楽しい時は時間を止めることができるのです。また「待ち遠しいことがあったりすると、その時までがとても長く感じたり」はしないのです。なぜなら期待はしないからです。
曽根原秀明さん
「ぶるうらんど」の感想文長々とありがとうございました。ところで三島さんと澁澤龍彦さんの対談で泉鏡花の「山吹」を読んだことのある人に会ったことがないとおっしゃていましたか?チキショー読んでいたのに!ーと言っても三島さん亡きあとだった。三島さんはこの戯曲を誰か上演しないかといっていましたが、去年だったか(?)玉三郎が演じましたよね。ぼくは飛んで行きました。
12月26日
今年最後の公開制作(PCPPP)が終わった。今日は満員で熱気が絵を描かせてくれた。1日で150号1点、この計算で公開制作をすると1年で150号が365点、描けることになる。これはピカソのスピードもサイズも超えるかも知れない。まあ、今年の最後の夢にしておきましょう。さあ明日から正月休みだけれど、大晦日も元旦も描き納め、描き始めの制作三昧です。
12月25日
○本日送られてきた本
水声社より「殺人者を殺せ」ヘンリー・ミラー著
水声社より「迷宮の作家たち」ヘンリー・ミラー著
コンスタンスに制作する時と、エネルギーを溜めて溜めて一気に短時間にウワーっと制作する時期があるが、今は後者である。徹底的に時間を追いこんでいく、これが他動的に起こるとストレスになるが、自動的に行う場合は一種の快感を伴う。今は画面にスピード感を持ち込みたいためだ。そして一気呵成に完成に向かう。この場合の完成は計画された未完成である。公開制作(PCPPP)がそれを実現させてくれる。明日(26日ー金曜日)、世田谷美術館でお会いしましょう。
12月24日
メリー・クリスマス 。なんちゃって。たった今スタッフに言われるまで今日がクリスマス・イヴだとは知らなかった。知ったからって何かが変わるわけではあるまい。ベッドの中で書き上がった小説「Y流夢幻能=ポルト・リガトの舘」の推敲でもしよーっと。
12月23日
年と共に時間の過ぎるのは早くなるというが、ぼくはその反対だ。今年は内外の個展の他にやはり内外のグループ展も多かった。以前だったらこんな年はアッという間に終わったのに、今年は長かった。外的時間は早く、内的時間は遅かったせいだろう。
12月22日
今日22日は冬至。一年で一番日が短い日だ。底の底で闇を味わおう。なんか落ちる所まで落ちた気分だ。
昨日の高校駅伝では郷里の西脇工高が8年振りの優勝を期待されて出場したが、一区から後方についたままで、順位上がらず。去年優勝した山梨育英は西脇工高に胸を借りて、すぐ後について走りたいといっていたのにこの消極的な作戦は何なんだ。渡辺監督も年と共に消極的になったのか。優勝候補として他チームに恐れられているのだから、一区から飛び出して威圧感を与えるべきなのに何を考えているのか、腹立たしくなった。
今日は久し振りで(じゃなかったかな?)タカラヅカの宙組公演「パラダイス・プリンス」(ムカシ、パラダイス・キングって歌謡グループがあったっけ)、「ダンシング・フォー・ユー」(個性のないタイトルだね)を観に行く。大和悠河さんはトップになった途端歌が上手くなった。今日は一番前のど真ん中の席だったので銀橋から何度も視線を投げてくれた。これがあるから止められないんだなぁ。タカラヅカはぼくの中のおばさま原理の自己発見です。
匿名さん
実物のトビ職は知人は「コワイ!」といいますよ。次は26日(金)です。正月明け8日(木)です。以上。
YOMIさん
アトリエのネズミの死はどうやら下水道から水洗トイレのパイプを伝って上ってきて、便器がツルツルで上がれず、そこで溺死したような気がします。他に考えられません。
12月21日
瀬戸内寂聴さんからシャネルの帽子(昔、正ちゃん帽と呼んでいた)と同じくシャネルの手袋をもらった。この前も瀬戸内さんからエルメスのベレー帽をもらった。ぼくはどういうわけか色んな人から帽子をもらう。帽子のコレクションは多いが大半はプレゼントされたものだ。もらった人のためにも帽子を愛用する。するとまた増える。嬉しい限りだ。
12月20日
世田谷美術館の公開制作(PCPPP)の3回目が終わった。どうなるかと思っていた作品が後半一気に解決し始めた。出足はのろいけれどあるところから急に加速される。PCPPPにもうひとつスピードの「P」を加えて、PCPPPPにすべきかな?
確かに絵は早くなっている。それも小説を書きたいために絵も早くなっていることは確かだ。そのために絵のスタイルに変化が見えてきた。また絵を描きたいために小説も早く書くようになった。早いことがいいことではないこも知れないが、遅いことがまたいいことでもないと思う。
12月18日
正午。一点の雲もなかった。空には昼の半月が浮かんでいた。クレーターまで見えた。風もない。アトリエは温室状態。イッセイ・ミヤケのデザイナー藤原大さんがぼた餅を持って現れる。これは眼の毒。胃の毒。先ずは毒味。毒ほど美味しいものはない。
またアトリエのトイレの便器の中に入水自殺をしたネズミ(大型)が上向けに浮いていた。どこにも出入り口のないトイレにまたしてもどこからかテレポーテーションしてきたのか。これで3匹目の自殺者を出したことになる。
12月17日
東尋坊にて
ここは自殺の名所で1年に4~50人が飛び降り自殺をしている。お土産店に売っているTシャツに「もう疲れました」と書いたのが売っていました。
勝山にて
福井県立恐竜博物館に行く。原寸大の骨組みの恐竜が何頭もいる。ふと「恐竜の唐揚げ見たいだねぇ」と言ったのを聞いていたおばさんが「あんた上手いこというね」と言って誉められた。
永平寺にて
30年程前にこの禅寺で3日ほど修業(参禅)したことがあった。実に厳しかった。しかも冬場の大雪の時。座禅堂を見てあの時を思い出した。あの頃の若い雲水は今頃は立派なお坊さんになっているだろう。でもぼくの目には今いる若い雲水があの時の雲水に見えて、ついついビビルのであります。
22日冬至まで、どんどん日が短くなって、23日からどんどん日が長くなる。今まで短くなるのが恐いほど嫌だったけれど、今年位から、面白く感じるようになった。つまり暗い時間(夜)っていうのはなぜか思索的になるのである。黒は人間を哲学的にする。ピカソの父はピカソに絵が描けないとキャンバスを黒に塗れと言ったことがある。
12月16日
○今日送られてきた本
新井満さんより「楽しみは」新井満著
鳥居万由美さんより「遠さについて」鳥居万由美著
先週から書き始めた小説がやっと書き上がりました。今回は90枚位。舞台はスペイン。まあこれ以上はいわないことにしておきましょう。変なもんで2作目(「ぶるうらんど」の次)を書き上げると、またすぐ次の小説のアイディアが浮かびました。この性癖は絵の時と同じです。絵も描き上ると次のアイディアが浮かぶ。だからアイディアは考えなくても、とにかく何でも描くと、アイディアが浮かぶという「ぼくの仕掛」らしいです。他も同じで、芝居を観終わると、すぐ別の芝居が見たい。何か食べるとすぐまた別のものが食べたくなる。旅行もそうです。とにかくすぐ反復したくなります。
12月15日
はこたゆうじさん
毎度公開制作に足を運んでいただきありがとうございます。あなたから送られてくる絵は楽しみのひとつになっています。1000枚位描く気でやってみて下さい。
YOMIさん
あの鳶スタイルは動きやすいのと、工事気分になれるんです。絵(Y字路)の中で家を建てたり、道路を作ったり、はたまた壊したりするので、鳶はぴったりです。それから2日目に山下裕二さんが現れるのは知らなかったんです。「美術の窓」の編集者が誘ったようですね。
川村美和さん
世田谷美術館の常設展示室(2階)でたまに「ロスのお土産」が展示されることがあります。その時は学芸部で教えてくれますよ。小説「ぶるうらんど」は1部と2部は別個の話ですが、3部で1部と2部が合流し、4部で、1部・2部・3部が全員集合となります。
12月12日 | |
本日は晴天なり。 洗濯日和なり。 公開制作(PCPPP)日和なり。
世田谷美術館へ行こう!!
第2回目の世田谷美術館のコスプレ公開制作(PCPPP)はアトリエ一杯の人で熱気があった。その熱気が制作を進行させてくれる。第1回目の作品が未完に終わったが、午前中にほぼ完成。午後から2作目に入るが、制作途上思わぬ発見があり、その発見を生かした作品が突如完成する。というハプニングに見舞われた。見ている人は発送が刹那的に見えたかも知れないが、考え、考えの上での決定であります。
●本日送られてきた本
淡交社より「知積院」
●本日送られてきたDVD
宮沢あきさんより「小田和正/自己ベスト・2」
12月10日
日経新聞に連載している瀬戸内寂聴さんの「奇縁まんだら」が2年続いて、いよいよあと3回で終わることになった。この連載に作家のポートレイトを100点以上描いてきた。来春に2冊目の単行本(絵も入っている)が出る。連載が終わってもこの際、ぼく個人が描きたい作家がいるので引き続き書くつもりだ。できれば来夏の金沢・21世紀美術館での個展で発表したい。
明日二度目のPCPPP(コスプレ公開制作)を世田谷美術館で行う。入場無料。死ぬほど退屈な方はどうぞ。コスプレ学芸員もお待ちしています。
12月9日
「文学界」で作家の南木佳士さんと対談をした。なぜかというと今回の36回泉鏡花賞を二人で受賞したからである。また二人共「文学界」に連載された小説で文藝春秋社から刊行された単行本によるということからだ。南木さんは医師である。南木さんはぼくより年少であるが芥川賞作家で作家としてはぼくの先輩ということになる。それにしてもプロの作家は大変だなあと思う。その点ぼくは隠居作家なので気分が軽い。本格的な作家として身を立てようという気持がないのでその点楽だ。また南木さんが医師の立場でもいいとぼくが言うと南木さんは自分は医師だからどうしても倫理的にならざるを得ないとおっしゃた。医師も大変だなあと思う。
12月8日
あまべさん
「ぶるうらんど」感想ありがとうございました。時間のない世界の物語なので地上ではインド時間に最も近いかも知れませんね。
日本の小説は私小説が多いせいかぼくの「ぶるうらんど」も私小説風に読む方が多いようですが、全く違います。そう読むと小説と作家を混同してしまいます。切り離して下さい。
YOMIさん
毎週金曜日、世田谷美術館で鳶スタイルでY字路の現物で作業しています。ぜひ今週もどうぞ。
星 侑何さん
あなたの夢の中の歯医者さんが実在していた話は実に面白いですが、そのあとがいけませんね。友達の言う通りだと思いますけど、あとはあなた次第、自分で決めるしかないですね。身の上相談はぼくの専門職じゃないので悪しからず。
○本日送られてきたDVDと本。
石戸圭一さん「東口トルエンズ」DVD/戸川純「28歳」
12月7日
わが家のタマ(元野良猫)はこちらの意識を離れていてもキャッチしているらしく、ぼくが夜中または朝、目を覚ますと同時にどこからともなくやってきて、枕元で鳴く。また外から帰ってきて玄関のチャイムを鳴らすと、家の中から勢いよく走ってきて、お尻をマッサージ(叩く)してもらいたいために、お尻を向こうにして待っている。また食事中はぼくの横できちんと座って目を閉じて座っている。ところがぼくが食べ物をやろうと思って用意する瞬間になるとパッと目を開けて、食べたらまた目を閉じる。夜、ぼくがトイレに行くと、どこからともなく走ってきてトイレの外で待ってお尻叩きを要求する。今日は天気がいい。午後からオイルマッサージに行こう。
12月6日
昨日、今日とおはぎを沢山食べた。いつもだったらてきめんに胸焼けがするのに、それがなかった。どうも食べたい気持と、やばいと感じている気持の間にズレがある。ズレは心と体だけではなく、自分と他人、自分と社会との間にもズレがある。そのズレを修復しようとすることが人間にはあるが、そんなものはそんなものでほっとけばいいんだ。いつの間にか修復できている。
欲しい本があった。今までなら飛びついて買ったが、よく考える必要があった。本に限らずぼくは衝動で動くところがある。これはまずい。考えて、考えて、考えて行動する方が、結果が良いことが分かった。
ただし、その考えが、何のための手段でないということが条件だ。
12月5日 | ||||||||||
本日、"世田谷美術館" でP.C.P.P.P. (公開コスチュームプレイ・パフォーマンス絵画)の第一日目が終わった。詳細(写真など)ドキュメントは糸井重里さんのホームページ「ほぼ日」にアクセスして見て下さい。 | ||||||||||
●世田谷美術館/学芸員の塚田さんと。 |
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●コスチュームを着たまま、世田谷美術館内のレンストランへ。 | ||||||||||
●制作風景 | ||||||||||
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学芸員の高橋さん、塚田さんもコスプレをして、ぼくは鳶服で制作。Y字路の絵にはこの恰好が最もふさわしいと思う。鳶服にも流行があって、ぼくが着用したのは最新流行のトップスタイル。この恰好で美術館内をウロつくと、本物だと思ってほとんど無視状態。かと思うと「こんな恰好で、よくレストランに入ってくるわ」とおばさんの警戒した視線を感じる。これが何とも愉快なのである。
12月2日
YOSHIEさん
ヘェーッ、ベリーダンサーのプロですか。ぼくはアラブ音楽も千夜一夜物語もベリーダンスも大好きです。写真送って下さい。出不精で滅多に街に出ることはないですが、どこかで観る機会があればと思います。AYUO君には世田谷美術館の「冒険王」展の時にミニ・コンサートをしてもらいました。2人でコラボレーションは如何ですか。美術館に話しておきますよ。でもぼくは夜の10時半はとっくに夢の中です。
小西里奈さん
「病の神様」は全て治ったぼくの病気の話ばかりです。お父さんの病気が治ることを祈っています。
今夜は板橋区のY字路を撮影に行きます。それにしても夜の撮影は寒いです。
12月1日
はこたゆうじさん
凄い創作量驚いています。マンガも上手い。どんどん送って下さい。スタッフも楽しみにしてます。
鈴木まことさん
あなたの家の近くのY字路を撮っていた(「東京人」)そうですね。知人の編集者も彼の家の近くのY字路が出ていた(「東京人」)といっていましたが、そうなんです、結構都内を徘徊しているんですよね。それはそうと、「ぶるうらんど」が臨死体験とはね。フム、フム。。
マミ・ヤノさん
明恵上人はともかく、バリで画家の修行はうらやましいですね。ぼくも憧れますね。
内藤一茂さん
舞鶴にお住まいとのこと、天の橋立は何度も行っています。「温泉主義」(新潮社)の中にも書いています。
三木純子さん
「ぶるうらんど」の感想ありがとうございます。あの小説のようにぼくの作品も色々リンクしているのです。
YOMIさん
「死の向こうへ」(光文社知恵の森文庫)と「ぶるうらんど」もリンクしています。
亀岡智さん
二作目の小説に取りかかりましたが、「ぶるうらんど」みたいに駆け足では書けません。今回は逆にのんびりとやっています。
アトリエのトイレでネズミが死んだがトイレに入る出入り口がないのに不思議だ。また昨日大きい野良猫が猫の穴から家の中にはいってどこかに消えた。外に出られる場所はどこにもないのにいない。最近のネズミや猫はナメクジみたいにテレポーテーションをするらしい。
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