4月30日
北島聖子さん
先週は本は買いませんでした。今週はすでに三冊買っていますが、週末にまとめて書き出します。ぼくの本をまとめて買っていただいてありがとうございました。あなたが買われた二枚のローリング・ストーンズのCDちょっと興味があります。でもここ数年間ストーンズは聴いていません。その昔ミック・ジャガーから連絡があって、彼のソロ・アルバムのジャケットデザインを頼まれたことがあるんですよ。でもそのレコードは出なかったんです。
河野実さん
「温泉主義」の中の〈想い出劇場〉に書いているヘリはあなたの想像通りです。中型輸送ヘリはご想像におまかせします。
4月29日
こちらの了解も得ずに一方的に訪ねるという礼儀知らずの人間がいるのには驚く。中には自分が行くことを楽しみに待っていて欲しいという常識では考えられない非礼な者がいるが、人間の質が疑われる。中には礼節のある若者もいるので、救われるが、他人の内部に土足で踏み込んでくる人間を、美輪明宏さんが三島由紀夫さんの言葉を借りて、体を登ってその内、頭まで登りつめてペロペロ頭をなめまわす奴がいると言っていたが、本当にそうだと思う。
さあ、ゴールデン・ウィークだ。広い東京を逃れて狭い田舎にでも出かけて隠居を満喫するか。
4月28日
初対面の木梨憲武さんから色んなタイプの帽子4個送られてきた。木梨さんはテレビで観る度に違った帽子を被っている。彼の帽子サイズは "L"
で、ぼくは "L" はとても大きいので "M" に変更してもらったら、 それも大きくて、結局 "S"
サイズだった。木梨さんの頭が大きいのか、僕の頭が小さいのか?でもメーカーにも "S" サイズはなく "M"
サイズに中敷を入れて補給するしかなかった。
4月27日
東京新聞に4年間連載していたエッセイが、文章にちなんだ20歳初頭から現在まで、あまり知られていない作品などを掲載して大判の画文集(全ページカラー)として文藝春秋社から、小説『ぶるうらんど』と同時刊行されました。この手のエッセイ集は10数年振りです。日頃思考したこと、思索したことを総まとめにしたものです。そう、そう忘れていましたが、タイトルは『人工庭園』です。ぼくの作品は庭師になったつもりで描いている―ところから名付けました。
4月26日
日曜日(4/27)は "世田谷美術館" で酒井忠康館長とトークショー(午後2時)を行います。浅野忠信さんじゃないけれど、酒井館長は「忠則」とつけられる予定だったそうです。でも「則」が「康」になりました。トークの内容は未定ですが、『隠居宣言』から話題に入りましょうと言われていますが、そんなにカタイ話しにはならないと思います。時間を持て余していらっしゃる方はどうぞ。
4月25日
◎今週買った本
「王朝貴族物語」(山口博著)
「伝説の迷路」(香川元太郎著)
「信化の迷路」(香川元太郎著)
「文明の迷路」 (香川元太郎著)
「時の迷路」 (香川元太郎著)
「自然遺産の迷路」 (香川元太郎著)
「太陽王と月の王」(澁澤龍彦著)
「世紀末画廊」(澁澤龍彦著)
「英国貴族の城館」(田中亮三著)
◎今週買ったCD
「夢のポップス・ヒット・グラフィティ」全12巻
「都はるみゴールデンベスト」
4月24日
岡芹あかねさんへ
色んなメディアを総合した作品を作りたいのですね。そのためにはひとつづつの技術をマスターしてください。でないと最初から総合を目指しても中途半端に終わりかねません。
藤巻一也さんへ
まだあなたは若いんでしょう。「隠居宣言」にはリアリティがないんじゃないでしょうか。でもぼくももっと早く気がついておれば45歳で画家に転向した時点で「画家宣言」 と「隠居宣言」を同時にしておけばよかったと思います。そう意味では若い人に読んでもらうべきかも知れません。
4月23日
ネットで知ったのだけれど、つい一年ほど前まで売られていたぼくの自伝「波乱へ」(文春文庫)が古書店で一万五千円になっていて驚いた。これって一体何?なんでこの間まで売っていたあの小さい文庫本ですよ。「コブナ少年」の続編の自伝で、無くなっているのだったらそろそろ増刷されるのかなと思っていただけに、これじゃあ出版社の方も増刷すべきかどうか悩むだろうな。
「波乱へ」 の最後に〈つづく〉と書いているが、その続編はまだ書いていない。今書くとまた〈つづく〉と書かなければならなくなるから、書くとしてももっと先だ。でないと人生を早々と締めくくってしまうことになるからだ。
4月22日
現代の文学の状況がこの一冊に凝縮されているという、昨年文芸誌に発表された作品の中から精選された18点の作品の中にぼくの「ぶるうらんど」が選ばれて、「文学2008」と題して講談社から刊行されました。「ぶるうらんど」四編は単行本(文藝春秋)になって目下発売中なのでこの際ぜひ読んでみて下さい。
4月21日
「冒険王」展が始まった。前日のオープニングヌは風雨の中にも関わらず大勢の人達が来館された。この日の歯は最高潮に痛くてマイッタ。久し振りで会う友人、知人とも会えた。間違って一日早く来た人もいたり、次の日に来た瀬戸内寂聴さんもいたり、プリンセス天功さんはこの日のためにアメリカから来て、次の日に帰って行った。ヨーコ& ショーン・レノンさんからびっくりするほど大きい花が届いた。進路が2階から1階へと逆回りなので右脳と左脳が入れ代わったような変な感覚に襲われるとはこの美術館をよく知った人の弁だ。
4月15日
世田谷美術館は「冒険王・横尾忠則」展をひかえて、学芸員は夜遅くまでえらい盛り上がっています。連日連夜で700点の作品の展示に大わらわです。作品の選択、展示はいっさい学芸員におまかせです。学芸員がどう批評するかが展覧会と考えているので、一番の楽しみは作家本人です。今回は一、二階両会場(全館)を使用した個展としては初の試みで、いつもと異なっていきなり2階がスタートになります。
4月14日
展示作品の多くは未発表の作品もあります。特にグラフィックデザイナー当時の生原稿やイラストレーションの原画、そのスケッチも初公開です。他に未公開のコラージュ作品やアンリ・ルソーの改ざん作品も沢山展示されます。アンリ・ルソーは笑っちゃいますよ。
4月13日
◎ 今週の本の買い物
「まさか『老病死に勝つ方法』があったとは」(A・スマナサーラ著)
「王朝生活の基礎知識」(川村裕子著)
「恋いの都」(三島由紀夫著)
「永遠の夫」(ドストエフスキー著)
「フーコー」(神崎繁著)
「新古今和歌集」(小林大輔著)
「揺れ動く貴族社会」(川尻秋生著)
「続・未来からの警告」(ジュセリーノ/サンドラ・マイア共著)
「さかしま」(ユイスマン著/渋谷竜彦訳)
「ヨーロッパ思想入門」(岩田靖夫著)
◎今週のCDの買い物
「石川さゆり大全集」、「森進一ベスト」、「美空ひばり・オリジナル・ベスト50」
どたん場で「冒険王・横尾忠則」展(世田谷美術館=4/19~6/15)のカタログの校正刷りが出たところで。あんまりひどいので印刷所を変更するという緊急事態が発生して、この2日間というもの天変地異的スケールの破綻で大変でした。そんなわけでカタログの発売は25日からで、それまでは会場で予約受付になります。出来次第発送することになりました。先ずはカタログに関してのお知らせ。
またミュージアム・ショップの全商品が「ヨコオ・グッズ」一色になりました。近著の書籍をはじめ過去の書籍も全部会場またはミュージアム・ショップの店頭に並びます。中には限られた部数のものもありますので、ご了承下さい。
4月9日
小説「ぶるうらんど」(文藝春秋社)が出ました。〈初小説〉となっていますが、実際は70年代に井上光晴さんの依頼で二篇書いたことがあります。今回のテーマは〈永遠の愛〉というこそばくなりそうなモチーフですが、ちょっと(いやかなり)変化球の効いた小説です。読んでみてください。
今週と来週は休養です。アトリエと公園で本など読む生活をします。温泉もディズニーランドも、那智の滝見物の予定が入っていましたがみんなキャンセルして、ボヤーッとすることに決めました。
4月8日
「隠居宣言」 をしたのにえらい忙しいじゃないですか、とよく言われる。そーかな?ぼく自身は依頼された仕事を制作しているわけではないので、ちっとも忙しくないのである。9時に風呂に入って10時には寝る。朝は5~6時に目を覚ます。睡眠時間はたっぷり7時間で、昼間は散歩をしたり、本を読んだり、アトリエで作品の構成を練ったりで、どこが忙しいの?忙しいのはぼくの周辺の人達が、やれ出版だ、やれ展覧会だと動き回ってくれているから、その中心にいるぼくがきっと忙しく見えるだけなんだろう。ぼくは目下台風の穴にいるので実に静かな隠居生活を送っているというのに。
4月4日
愛知県にある「明治村」に行ってきた。ここで思わぬ人にバッタリ。目下出版されている「道のシリーズ・横尾忠則」(河出書房新社)で、浅野忠信さんが「忠信」の「忠」はぼくの「忠則」の「忠」からお父さんが名付けられたという話しを語ってくれています。でも二人はまだ会っていないのです。そこで、二~三日前に浅野さんにハガキを送って、「近いうちにどこかで会えるといいですね」と書いたのです。そしたらなんと「明治村」で映画の撮影中にバッタリ会ったのです。想いが即実現してしまったので二人とも大喜びをしました。またよく成城の増田屋で会う小澤征悦さんにも会い、彼もびっくり。
4月1日
今日の大方の新聞がぼくの「ガルメラ商会」のポスターが教科書の掲載を文部省が拒否したという記事出ましたが、目に止まった人も多かったと思います。それに対してぼくがどう思うかよりも、ジャーナリズムがどう考えるかを知りたいと思います。個人の問題を超えたレベルでジャーナリズムの意見を聞きたいものです。
↑↑ GO TO THE TOP ↑↑