7月31日
池田祥子さん
ハイ、送っていただいた夢の話拝読しました。ぼくは子供の頃はよく時代映画を観たのですが、その後、時代映画も小説も遠ざかっています。まぁ、織田信長に興味がある程度で、研究などはしていません。
清水浩司さん
さぁ、兵県美のタカラジェンヌ大和悠河さんとのトーク、どんな話になるのか、わかりません。タカラヅカ・ファンでない方もいらっしゃるので、ファンだけに通じる話にならないようにしたいですね。
匿名氏
あなたが挙げておられるヨーロッパの古典絵画の画家は全部ぼくの私淑する人達です。ぼくの作品の中に直載引用している古典画家について指摘する専門家はいますが、そうでない作品に関しては「発見」してもらえてないようです。解ってもらえず、残念というより、まぁええかという感じですが、あなたのように「そこ」に気付いてもらえるだけで十分です。 P.S.ものもらいは完治しました。
7月30日
明日は歌舞伎座に泉鏡花の「夜叉ケ池」と「高野聖」 を観に行くので、以前読んだ鏡花の本を引っぱり出して読んでみた。二度目に読んでわかったことはかなり自分で創作している箇所があることに気づいた。そのずれが、まるで郷里の土地を今歩いているようで、妙にハラハラして読んだ。二度目は熟読するところと、流して読むところがあったりして、ひとつの物語というよりふたつの物語を読んだ気になった。その二つ目にかなり自分の創作が入っていたりして、また何年かして読むと次は自分が本当に体験した話にしてしまいそうな気がしないでもまいーーーそんな気がした。でもそれこそが創作(ぼくの場合は絵画)の核になるんじゃないだろうか。
瀬戸内寂聴さんが日経新聞に連載している「奇縁まんだら」が一冊の本になっていますが、ブログでは非常に人気が高くって、早く下巻が読みたいという人が多いが、下巻は年末か、年始ぐらいに出るのでははいでしょうか。日経新聞には日曜の朝刊に掲載されています。そこでぼくは取り上げられた作家(文化人)のポートレートを描いています。(原画は『冒険王』展に展示しています。)文章が書けてから絵を描いていると間に合わないので、先に描いて入稿することも多いです。ぼくとしては小説家ばかりではなく、もう少し他のジャンルの人物も描いてみたいと思っています。来週は藤原義江なので、少し気分が開放されます。瀬戸内さんが会った淡谷のり子や藤原寛美やミヤコ蝶々や美空ひばりなどが出てくると、気分の重くなる作家と違って描いていても楽しくなるんですがねぇ。どうも作家は面白味のない顔の人が多いですね。谷崎、永井、川端、三島のような絵になる人は段々少なくなっていくのですかなぁ。
最近見る夢は本当に現実の延長というか、現実の反復で、昔のような超常的でスペクタクルズな夢はさっぱり見なくなりました。三島由紀夫じゃないけれど無意識がなくなったのかな?絵を描く時だって「なんでこんなものを描くんだろう?」という疑問もなくなり、直観と理性が必ず一致しているんです。夢を記述し、夢絵日記を描くことで無意識を吐き出す行為の結果かな?とも思います。無意識を追放することで、次の創作ステップに入ろうとしているような気がします。
描きかけの絵や、これから描こうと思う絵になかなか取っつけないでいる。今日は暑いからだとか、読みたい本があるからだとか、頼まれているエッセイを書きたいとか、何だかんだと理由をつけて、中々腰を上げない。年かな?とも思ったりする。そんな話を和田誠君と電話で話していたら、彼は「横尾ちゃんは昔からそうだよ。『話の特集』をやっていた頃から、編集部でイラストレーションを二人で描いていたけど、横尾ちゃんはなかなか取っかからなかったよ。年令は関係ないよ。」と言われて、年じゃないんだ、単なるクセだったのかと思って先ずは安心というとこかな。
7月29日
ビリヤードの面白いのはどんなレベルの人ともできることです。テニスや卓球、碁や将棋と違って同様の実力の持主でなくてもプレイできることです。それと心と体が一体化していないと上手くいかない。そんな「自分」を知ることができるのも発見です。
はこたゆうじさん
絵はしっかり受け止めました。どんどん送ってください。将来への不安は誰にもあります。なきゃおかしいです。希望だけがアートを生む要因ではないです。とにかく描けば何かが開けると思いますよ。
7月28日
○今週頂いた本
中条省平氏より「失われた時を求めて(弟2巻)」=マルセル・ブルースト作・中条省平翻訳・解説
川上雪担氏より「雪担老師語録」=川上雪担著
中矢伸一氏より「日本はなぜ神道なの」= 中矢伸一著
○今週買ったCD
鶴田浩二アルバム・コレクション(4枚組)
○今週読んだ本
「神曲崩壊」山田風太郎著
はこたゆうじさん
いつも絵のメール拝見しています。面白いので取っておいてますよ。あれこれ迷わないで描いてまた送って下さい。今回も長文のヘールを拝受しました。ハードスケジュールに見えるかも知れませんが、自分で自由に出きる時間をフルに利用しています。これが隠居の時間です。9時にベッドに入って9時半頃に眠って、朝、5~6時頃に起きているので午前中の時間はたっぷり使えます。まあ健康な生活でしょうね。河口湖以来ビリヤードにこりそうです。9月にまたビリヤード大会(?)を河口湖でやることになっています。今週は歌舞伎鑑賞です。こういう遊びが忙しく思われているようですね。ぼくにとってトークショーも最たる遊びです。
テレビの出演や映画の俳優としての依頼などがありますが、もうひとつピタッと来るものがないのでお断りしました。でもありがたいとは思っています。その映画で面白い役があれば久し振りで演じてもいいかなと思わないではないです。若い人達は知っているかな?1970年に大島渚監督の「新宿泥棒日記」に主演していることや、大映の「新宿番外地」、あがた森魚監督の「僕は天使ぢゃないよ」、それからアメリカ映画「MISHIMA」にも画家の役で出演していることを。その後も2、3話はありましたが、どうも自分のキャラクターと役が合わなかったりして断らざるを得なかった。テレビでは連続ドラマ2本と時代劇に出たことはありましたが、やっぱり映画の現場は熱いものがあっていいですね。
7月27日
○本日買った本
「ラバウル航空隊の最後」渡辺紀三夫
「撃墜王の素顔」杉野計雄
「坂井三郎と零戦」三野正洋
「水木しげるの娘に語るお父さんの戦記」水木しげる
「織田信長 (上) (下)」 大佛次郎
○本日買ったCD
「現代の教育への眼差し/乱世に生きた親鸞、道元に学ぶ」山折哲雄
「孔子を語る」井上靖
本は買うまいと決め、わが家の本棚にある本を読もうと思ったが、今読みたい本はどうしても買ってしまう。ぼくはその日の気分でまとめ買いをするくせがある。これはくせだから仕方ない。「織田信長」に関しては何冊かの本を読んだが、また大佛次郎のを読んでみようと思って買った。ところで今読んでいる真っ最中の本は「コンセプチュアルアート」である。CDは制作時のBGM用だ。
不眠が解消したかと思うと次は眼にものもらいができた。不眠と熟眠が反復するとものもらいができることがわかった。
7月26日
河口湖での完全不眠が帰京後すぐマッサージを受けた結果朝まで10時間ぐっすり眠り、体調快復。まあ単純といえば単純な性格だ。今日も暑く、何もする気がしない。こういう時は無理しないことにしている。不眠が続いたせいか左目が痛む。だから本も読まない方がいいかも知れません。今日も10時前に寝よう。
瀬戸内さんが酔っぱらって自宅の2階の階段から落ちて大ケガをしたとか。平野啓一郎さんに顔面骨が四ヶ所折れたと聞いて、早速本人に電話したら「骨は折れなかった」そうだ。今は元の顔に戻ってすっきり顔だそうだ。神戸の冒険王展で平野さんとトークをするのでそのあと京都に行く約束をする。「ハモしゃぶはどう?」と瀬戸内さん。「ハモしゃぶでもなんでもいい」と返事する。「じゃ何か考えとく」そうだ。楽しみだ。
7月25日
横矢マヤさん
「東京見おさめレクイエム」はもう10数年前、東京の街が登場する小説を読んで、物語の舞台になっている場所に立って、過去と現代の時間を結ぶエッセイ集です。小説に導かれて、都内を歩き廻りましたが、今また23区のY字路を求めて東京を徘徊しています。これも、もうひとつの「東京見おさめレクイエム」です。
匿名氏
昨日河口湖近辺の「マハラジャ」というレストランは「アラジン」の間違いでした。「マハラジャ」は目の前にあったビールの名前でした。この店に入ったのは「アラジン」という千夜一夜物語の世界を連想したからです。ぼくは子供の頃からこの世界に憧れ続けています。「アラジン」をイメージした絵を「冒険王」展に出品(ブルーアイランド)しています。
昨日は6年振りにこの辺りの別荘地帯を1時間ばかり散策しました。廃墟化した別荘があちこちに点在していて、何やらドラマを感じます。いつの間にか新しい家も建っていますが、以前からある家もさぼど利用している形跡もなく、半ば放置されています。シーズンだというのにどの家にも人の気配がないのが気になります。別荘を持ったことが負担になっているんじゃないでしょうかね。
昨夜は遅くまで宿泊センターで6人でビリヤードをしました。大昔(1970年初頭頃)プルマンのワシントン大学で1週間ほどワークショップをした時によくビリヤードをしたことがありましたが、今回は全く初心者同様、ヘマの連続でしたが、4ゲーム目位にわが夫妻のタッグマッチが成功して勝利を得ました。今までの趣味のなかった生活にビリヤードが、マルセル・デュシャンのチェスのような役割を果たしてくれればと淡い期待を抱いています。早朝6時過ぎからテニス組はコートでプレイをしていますが、ぼくはビリヤードの練習です。
7月24日
昨夜は地震で目が覚め、そのまま朝まで眠れず。早朝、頂上だけ現していた富士山もやがて次々湧き上がる入道雲でその姿を隠してしまった。午前中、仕事(インタビュー)。昼はインドカレー店(マハラジャ)へ。夕食のデザート用の桃の買出し。午後もインタビュー。終わってテニス組はテニスを。夕方、森の中の別荘地帯を散策。ここしばらく旅が続いているので不眠気味。クーラーがないのも影響か。今日は窓を少し開けて寝てみよう。マッサージチェアで読書などする。夕食前に大浴場へ。明日午後に帰京予定。
7月23日
富士の裾野の富士資料センターにいます。クーラーが故障していますが、気温が低いために自然の状態で快適です。宿泊しているのはわれわれのグループ7人だけなので、貸し切りです。今日の仕事(インタビュー)は2時間半で終る。明日後半部分。昼は久し振りに焼肉を食べる。夕食はセンターで。ご馳走が出たがデザートがなかったので淋しい思いになりました。
7月22日
明日から富士山の裾野にある河口湖の富士資料サンター・保養所へ2泊3日で行きます。NHKテレビ「知るを楽しむ」という番組のテキスト本のためのインタビューを受けるためです。放映は11月頃でです。まあよくある自伝的な番組だと思いますが、行ってみないとわかりません。このセンターでは以前「夢枕」という本をカンズメになって書き(描き)ました。部屋の広い窓(全面)から目の前にドカーンと巨大な富士山が見えます。夏の富士は富士山の形をしたボタ山みたいで黒々しています。環境は抜群で辺りは森と林。その中には別荘が点在しています。センターにはテニスコートや大(中?)浴場があり、食堂やラウンジ、図書館がありますが、ちょっと気分転換をしたいと思うと河口湖畔まで車で行くことになります。夜は満天の星空が仰げます。明日のブログは現地から送ります。
兵庫県立美術館の「冒険王」展のブログには情報たっぷりで、写真なども満載。ぼくも毎日見ています。旅行中に沢山のメールや未知の人達からのブログ、いちいち解答できませんが、目を通しています。ぜひ兵庫県美の「冒険王」をチェックして下さい。
中田国宏さん
ぼくは無テーマで生きているので生活や生き方や職業の異なる天功さんとも違和感はないです。それはそうと<ミューズ>が元気とのことで嬉しいです。(ミューズとは西脇市岡之山美術館で大雨の中捨てられて鳴いていた子猫を拾ったものの、東京に連れて帰るわけにもいかず、誰かもらってくれる人は?と探している時、若い中田さん夫妻が名乗り出てくれて、ぼくが美術館で出会ったということで<ミューズ>と名付けた猫です。)
佐藤エリさん
ぼくが帰宅すると、玄関近くの岩の上のタマが降りて小走りで近寄ってきます。でも家の中には入りたくないようです。外の方が涼しいようで、いくら涼しくてもクーラーは好みじゃないようです。この習慣は毎年続けています。最初は憐れに思いましたが、今はどうぞご隋意にという感じです。
服部節子さん
わざわざ佐賀からだったら世田谷展ではなく兵庫展の方が近かったですよね。兵庫でのトークショーはすぐ満席になってしまったようです。次回のタカラヅカの大和悠河さんは募集と同時に800人の申し込みで会場を別の所に移す(同じ美術館内)ようです。
匿名氏
後で書いた「コブナ少年」が先で、その次が「波乱へ」ですが、今のところ絶版ですが、ネットでは買えそうですよ。それから「月の砂漠」はぼくの大好きな歌です。CDでもよく聞きます。演歌は別として、エキゾチックな歌では「ウスクダラ」「ゴービンダ」などです。「千夜一夜物語」の世界が大好きです。
7月21日
やっと関西の旅から帰ってきました。日記帳を持っていかなかったので、旅行中の記述が大変。忘れん坊ですからね。留守の間にタマはすっかり外猫になって庭の石の上や牛乳箱の上に座って(立って?)いました。夏になると家の中に入って来ないでゴハンも外で食べます。夏バテでかなりスリムになっていた。タマは猫の割にはかなり観念的で、ぼくのベッドルームは冬の間床暖をしているので、未だにベッドルームは暑いと思っているらしい。だから今度は寒がりだから、あわてて洋服ダンスの中に逃げ込んだ。とにかくアーティストと同じで肉体に忠実です。でも文学者みたいに観念的なんです。まあ、そのバランスが必要なんですなあ。
本日買った本
「ちびの聖者」G.シムノン
「本を読む本」M.J.アドラー/C.V.ドーレン
7月20日
昨日、兵県美でプリンセス・天功さんとのトークが時間超過で2時間40分。エンドレスでいつ果てるともなく続きました。席を立つお客さんもいらっしゃらず、何故か「笑われている」の連続でした。彼女はアトリエによく遊びに来るけれど、その延長という感じで、違ったところはオープン間もなく、5人の武士(西洋?東洋?どっち?)が現れ、その中の一人がロボットだったというのです。ぼくは分かりましたが、お客さんは分からなかったと思います。いきなり客席にマジックをかけたためです。会場にプーチンさんにもらったというクレムリンという名の犬も現れました。人面犬でぼくは持ち主じゃないので可愛いとも思いませんでした。気味悪いだけで、まるでモップみたいなゾロッとした犬です。この間もブログで書いたけれどファッションという毛のない猫もまあ可愛い部類に入らない。コンピューターで作ったような猫です。毎回お土産をプレゼントされるのですが今回はダチョウの卵です。これにぼくの目が描いてあるのですが、あまり目を合わせてくれない品物です。
7月19日
匿名
そうなんです。「冒険王」展のカタログの背表紙が「嫌だ」という人が結構多いんです。ぼくのカバーに似つかわしいデザインということでデザインをしたようですが、迷惑ですなあ。あなたがおっしゃるように本棚に立てたくないですよね。自分でやるべきだったですね。
7月18日
旅に出ているとアトリエへの訪問客がないので蟻が踏みつぶされる心配がないので、気が楽だ。昨日は京都の知積院に行った。庭に蟻がいた。他にも人がいたので心配だったが考えないようにした。蟻が大家族なのもきっと死者が多いのでその分人数(?)も多いのだろう。人間も人口が増えると蟻と同じ運命をたどることになるのだろうか。
炎天下の中祇園祭の山鉾巡行を道路に面した観覧席で見るつもりで席を確保されていたが、このインドより暑い(と感じた)中、とっても我慢できないので席を立って陽かげで棒立ちで眺めるともなく眺めていたが、汗が目の中に入る。それでも13万人の人達はその場を離れない。ぼくは離れた。そして行った先が知積院だった。なぜかくしゃみの連発で鼻水が流れて困った。
匿名氏
よく作品の意味や説明を求められますが、本当のこと、そう簡単に説明などできないし、また意味もないんです。―というと逃げていると思われるけれども作品を軽々しく説明するのもバカです。知らなきゃ知らないまま、わからなきゃわからないままでいいんです。謎は謎のままにしておきましょう。
michiyo sakanoさん
ガチャガチャの中に一匹変わり種猫が入っています。ぼくも見たことがないけれども当てた人はブログに写真を掲載していました。全身ピンク一色猫です。ぼくのピンクガールと同じピンクです。
豊岡恵子さん
いづれ兵庫県下のY字路シリーズの写真と絵画を発表します。情報を下さい。このブログでも時々書いていますが、目下東京23区のY字路の写真を撮っています。展覧会と写真集で発表します。
昨日、一昨日は京都。今日は神戸。昼は大阪に出て梅田劇場のタカラヅカ公演「雨に歌えば」を観に行きます。夜は美術館の人達と中華の夕食。昨夜はホテルのレストランで鉄板焼き。昨日まで京都で一緒だった方がぼくのブログを見て食べ物の写真ばかりだったと言っていましたが、またまた長男のブログを見られたようです。長男のブログをぼくのブログだと思ってズーッと見ているという人に随分沢山会いますが、もっとわかりやすく区別するようにしよう。
7月17日
はこたゆうじさん
随分古い本(「画家の日記」)を読んでいただいたんですね。あの頃は四苦八苦の連続だったですね。今は四楽八楽といった頃かな。描きたい時に描く、したくない時は何もしない生活です。どこかに無理があると四苦八苦になります。旅先なのであなたの送ってくれた絵は帰京してから拝見します。
のぶこさん
美術評論家は作家と鑑賞者の間を結ぶ役割をします。必ずしも作家の意図通りに論じられてはいません。中には批評の定番のような批評もあります。だから時には批評に対する批評的作品で応酬することも楽しみのひとつです。
平野伸次さん
冒険物語は好きですが、作品的冒険はあんまり意識していません。したいことをするだけです。
清水浩司さん
やっぱり広い空間で観ていただきたいですね。それと兵県美の床に作品が映るところも注意してみて下さい。水面に立って見ているようです。
ばばひとみさん
東山魁夷さんの絵と比較されちゃって笑っています。「美しい」とは目に映ったものだけで判断しないで下さい。
7月16日
匿名氏
そうなんです。「冒険王」展のカタログの背表紙が「嫌だ」という人が結構多いんです。ぼくのカバーに似つかわしいデザインということでデザインをしたようですが、迷惑ですなぁ。あなたがおっしゃるように本棚に立てたくないですよね。自分でやるべきだったですね。
7月15日
荻野幸子さん
岡之山美術館のミュージアム・メイトになられると、催事などがある度に案内があると思いますよ。
メールの回数など気にしないで下さい。なるべくお答えするようにしています。今週いっぱいに京都、大阪、神戸に行きます。京都では祇園祭と智積院へ。大阪では8月に兵庫県美でトークをするタカラヅカの大和悠河さんが出演している梅田劇場の「雨に歌えば」を観ます。神戸ではプリンセス天功さんとのトークに参加です。
7月14日
ニューヨークの "フリードマン・ベンダ・ギャラリー"
の個展の最終打ち合わせをオーナーと、作品の選択など行う。滝のポストカードのインスタレーションを始め、近年の20数点のペオンティングを展示予定。ニューヨークに最後に行ってから7,8年、いや10年くらいになるかな。数年前にも別のギャラリーで個展をしたが、今回はかなり大きい展覧会になりそう。オープニングは9月10日より5週間。ニューヨークに行く人がおられたら、是非観てもらいたいですね。新作も1~2点描く予定。
7月13日
よく「冒険王」展のカタログの表紙で背の近い所に「切り取り線」が入っているのはなぜか?と聞かれるが、本当のことをいうと、あの本の表紙と裏表紙はぼくのデザインだけれども背表紙はぼくのデザインではなく、Kという人のデザインである。この背表紙がぼくは大嫌いなので、印刷がほぼ出来上がったところで、なんとかこの背表紙を切り離したいーとそんな気持から切り取り線を急遽入れたという次第であります。以上。
今日は一時すごいスコールのような雨が降った。ヘミングウェイの小説にこんな雨の描写があった。またインドでもそうだった。インドではスコールの後あっという間に道路には砂ぼこりが立った。太陽熱が強烈なため、道路にたまった雨は瞬時に蒸発してしまうのだ。ぼくは人間の感情もこういうのが好きだ。
今日みたいに暑いとアトリエの前のコンクリートの地表も熱しているので、いつもの蟻が姿を消していたが、一匹だけが足の裏が熱いのか飛ぶように走って巣のあると思われる隣家の土地に石塀を超え急ぐ姿がなんとなく哀れです。
今日からサスペンダー付きの半パンに変えた。ガキっぽく見えるが、むしろ老人ファッションというべきだろう。幼児の格好と老人のそれは精神においても差異はなかろう。
7月11日
昨夜、足立区のY字路採集に行ってきました。表通りには少なかったけど裏通りには結構ありました。人通りも少なくゆっくり撮れました。やたらと猫が徘徊してるのが気に入りました。空が茶色っぽくてまるで写真館のホリゾントの前に町並みが劇場の舞台のように佇んでいるのが幻想的でした。「東京人」に連載しています。
昨日はわが家のタマがネズミ取りに引っかかって、足の裏についた粘着物がくっついて大変だった。歩くたびにペッタンペッタンしておかしな歩き方をしていた。自分に何が起こっているのかわからないので、本人はこのことで遊べないのが残念そうに思えた。
この間知人の編集者からオリジナルの「少年ケニヤ」全12巻をプレゼントされた。ぼくは「少年王者」世代で「ケニヤ」は読んでいなかったので嬉しかった。あの頃の少年の視線に戻って、自分の中にまだ息づいている少年と出会えることが実に幸せなんだ。
7月10日
イートさん
ぼくは若い頃、随分お金に困ったことがありましたが、したくない仕事のために仕事をするとことはありませんでした。仕事がなくても「武士は食わねど高楊枝」なんてうそぶいて威張っていました。だけどいよいよ困った時は、必要な分だけどこからか入って(仕事)くるという法則のようなものを確信するようになったので、あせらなくなりました。まあ性格的に楽観主義者でもあったように思います。努力はお金のためではなく精神の高揚のためにするもんじゃないでしょうか。その結果のお金じゃないですかね。仕事に良し悪しは本来はないと思います。楽しいか面白いかでしょう。目的をお金にしたら、どうしても執着になります。稼ぐための手段になります。そうするとお金は遠のく場合があるように思います。稼ぎたい気持ちがあんまり強いとバリアが張られて、入るのも入らなくなるんじゃないでしょうかね。そんな時は楽しいことをしたり、勉強でもしてチャンスを待つしかないでしょう。
藤巻一也さん
飛騨には去年行きましたが、「高野聖」の舞台天生峠があるとは知りませんでした。ちょっと行って見たかったですね。何しろ泉鏡花ファンですからね。今月末、歌舞伎座に「高野聖」を観に行きます。
大阪の和恵さん
インドに行く機会があればぜひお薦めしまう。ただし飲み水は危険です。氷も。それから大抵やられるのは香辛料ですね。一週間後に大抵の人は下痢をします。その後は平気です。まあこういうことも含めてインド旅行です。それから「冒険王」展でのストラップは初日に完売と聞きました。今のところ制作の予定はありません。ガチャポンはまだあると思いますが、世田谷展の時は一万個あったのが全部なくなってしまいました。思った時がタイミングです。書籍は世田谷展の時になかった文庫本などが増えています。新作キュービックもできました。
荻野幸子さん
西脇に行かれるのならぜひ岡之山美術館に行って下さい。副館長の戸田さんに声を掛けて下さい(と横尾が言っていたと)。どこにも発表したことのない、やや以前の絵画などもあります。
ガチャポンの「魔除け猫」と「大仏猫」の金色が再現されていませんのでお持ちの方はピカピカの金色で塗って下さい。
7月9日
エッセイを読んでくれた人が、その人のブログにぼくの文章から抜粋して感想を寄せてくれているけれど、書いたぼくはその文章に記憶がないことが多い。エッセイはわりかしスラスラ(でもないけれど)早く書いて、時には読み直しもしないで渡してしまうので、描き終わったらハイそれまでで忘れるようにしている。というより忘れてしまう。
長い間懐メロや演歌ばかり聴いて絵を描いていたけれど、最近はクラシック三昧になってしまった。以前はワーグナー、ブルックナー、マーラが好きだったけれど、このところはサティ、マリア・カラス、ピアソラなどをよく聴く。勿論モーツアルトは欠かさない。でもこれらの曲の合間に演歌を二、三曲放り込むといい味になる。音楽も料理みたいなものだ。
7月8日
このところは以前読んだ本、買った本を忘れて、読んだり、買ったり、ばかりしている。これも望むところだ。本の多読が単なる時間のロスであることもある。それは再読していてよくわかる。全く初めて読んでいるのとそー変わりがないからだ。
雨が降ると安心する。蟻がどこかに消えるからだ。雨が止むとまた踏み殺されないかと思うと心配になってくる。
以前熊本現代美術館で「ブェノスアイレス化計画」という個展を開いた時、マルセル・デュシャンが夏目漱石の(彼はしばらく熊本にいた)のバンドネオンでタンゴを踊っている絵を描いたことがある。なぜ?といわれてもよくわからないがなんとなくそーしたかっただけ。ところが今日「デュシャンは語る」を読んでいたら、彼は1918年に9ヶ月間ブェノスアイレスに滞在していたことを知った。当然タンゴも踊ったことだろう。
7月7日
「冒険王」の兵庫展の色んな人のブログを見ていると面白い。大半の書き手が関西の人ですが、関西の人はどうして文章まで関西弁になってしまうんですかね。10人が10人共に関西弁語です。普通文章を書く場合は文章体ですが、それがほぼ全員が関西弁の話し言葉なんです。この現象は流行なんですかね。流行といえば道で知らな通行人に銃を撃つジェスチャーをすると、どんな人でも、撃たれた瞬間のポーズをオーバーに取ったり、道行くおばさんに「アメちゃん頂戴!」というとおばさんのほぼ全員がアメちゃんを持っているのに驚く。それと大阪の大抵の人は桑名正博の「スイート・ホーム大阪」が歌えるというが、これ一体何なの?しかもこの歌が流行っているにもかかわらず、誰が歌っているか知らない人も結構いる。ぼくが関西にいた頃の関西はこんな変じゃなかった。
7月6日
「ターザンの黄金」という映画をDVDで観た。幼い頃に観た映画だったけれど、憶えているシーンがいくつもあった。同じ映画を時間が経って再び観るのは発見の連続だ。今のようにCGを使用したシーンなどひとつもなく全編実写なので思わず手に汗を握ることしばしばだった。この映画には視線の源泉がある。
◎今日買った本
「零戦の秘術」加藤寛一郎著(古本)
「リー・ミラー」A・ペンローズ著
7月5日
豊岡恵子さん
「幻花」の挿絵を描いて(1975年)すでに、33年になりますがいつか画集にしておきたいと考えていますが、何しろ面倒臭がり屋の性格ですからね、誰か(編集者)がお尻を叩いてくれなきゃ、なかなか腰が上がらないんですよ。
宇野亜喜良さんと対談をする。1960年に日本デザインセンターで知り合って以来48年の友です。その間雑誌での対談は初めてじゃなかったかな。トークショーなどはやったような記憶(あるのやらないのやら)はあるとおもうけれど、また今日初めてツーショット写真を撮ってもらったのである。対談の内容は「色について」だったけれど話題は流動しっぱなしで、最後は滝みたいにどっかに落下してしまった。
Bunkamura ザ・ミュージアムに「清秋のロシア・アヴァンギャルド」展を観る。やっぱりマレーウ゛ィッチはいい。彼の厳格な造型には高次の精神性を感じた。
7月4日
今朝の東京新聞に例の世田谷教育委員会が「冒険王」展の鑑賞教室を中止した件で「横尾さん側は事前に中止を知らされず、五月中旬、本人が区教委に抗議する事態に発展していた。」と書かれていたが、ぼくは抗議などした事実は全くない。こういう事実でないことをさも事実であるかのように報道されているのが、なんだかドラマティックにされているようで困る。
牧つづみさん
3月にお返事書いたのに、つい先日ですが、ご覧になったのは。まあいいです。下田温泉の絵は海底のY字路にしてみました。下田で水族館に行ったために海底ばかり眺めていたから、つい改定を描いたのです。温泉旅行は一端中断しています。その内また始まるかも知れませんが、以前から宝塚温泉は予定に入っていました。色々情報をありがとうございました。参考にします。
荻野幸子さん
お住まいの東灘区住吉東町辺りには神戸時代に”NON”というデザイナー・グループの拠点があってよく行きました。ぼくがまだ19~20才の頃です。でも街並みの記憶はありません。ミーティングした部屋の記憶がやっとです。
鈴木 睦さん
とんでもないです。悟ろうなんて、大それた考えなど持っていません。ただただ絵を描く日々を大事にしているだけです。ぼくにはこれ以上のものを求めたり欲したりはしません。創作を通じて人生を遊んでいるだけです。
7月3日
◎今日贈られた本
南 伸坊さんから「狸の夫婦」 南 伸坊著
久し振りに集中して2日で1点仕上げた。だらだら描くのもいいが集中するのもよし。若い頃は平気だったが、今はなるべくだらだら描く方が心身のバランスが取れるので、この方法で行くことにしよう。でも筆は刹那的に動くのでだらだらやっているとインスピレーションを捕獲するタイミングを逸する。まあ好きなようにやって下さいと自分にいうしかない。
光文社知恵の森文庫から
「ぼくは閃きを味方にいきてきた」
「東京見オサメレクイエム」
「名画感応術」
「名画裸婦感応術」
「今、生きる秘訣」
が揃って増刷された。絶版かな?と思っていたけれど、どれも継続して増刷されていたらしい。久し振りで読んでみると、「ヘェー?」、「ふうん?」と言いながら読んでしまった。ぼくの中の時間の風化が他人事になってしまっているのだろう。
7月2日
◎本日贈られた本
西川隆範さんより「シュタイナー用語辞典」 西川隆範著
◎買った本
「リー・ミラー写真集」
どうして玄関のドアの周辺を蟻がウロチョロしているのかわからないけれど、毎日顔を合わせていると友情が生まれてしまう。そrふぇでも訪問客があると、犠牲者が出ます。今日は天気もよく蟻日和なんですがいつも大行列を作っている何千匹の小蟻の姿はなく、その代り地中から出てきたミミズが何匹も死んでいます。その意味はぼくにはわかりませんが、、、、、。
世田谷区教育委員会の人が例の小学生への展覧会の観賞を中止した件で謝罪に来られましたが、美術教育に対する考え方があまりにも閉鎖的で、変質した道徳観や論理館を感じました。第一謝罪はぼくにするのではなく、その対象は観賞を拒否された小学生達ではないでしょうか。とにかく、美術に対する興味、関心のないエライ人の一言が全体の意見になったようにぼくは感じました。現場の先生方から出た意見だそうですが、全員がそう思ったわけではなく、ただ大きい流れに従わざるを得なかったんじゃないですかね。それにしても、展覧会が終わり、兵庫県立美術館に展覧会が移ったこのタイミングに来られたという戦略も見え見えで、反省しているとおっしゃるのなら、反省の時点で即再鑑賞を実行すればいいはずですが、すでに終わってからの報告には人間のズルさが見えました。
YUMIさん
トークやイベントは多分抽選かと思いますが、とりあえず申し込んでみて下さい。(あっ!申し込まれたんですよね)。その時の気分でどんなトークになるのかやってみないとわかんないですね。公開制作はもっとわかりません。
「蟻、踏まないで!」の標識あんまり効果がないみたいです。蟻の命なんぞいちいち考えて生きているとノイローゼになる人もいるんでしょうね。蟻の命を考えて生きる方がずっと豊かな気分になるというのに。自然観が変わると思うんですけれどねえ。一日中庭で蟻の行動を見つめていた熊谷守一さんと蟻の話をしてみたかったなあ。
西脇市岡之山美術館での「ぶるうらんど」展のレセプションに先月の29日出席する。小説「ぶるうらんど」の生原稿やゲラや校正、推敲などと、小説の内容を暗示する絵画などが展示されて、その絵画作品もほとんどが未発表のもので一風変わった展覧会になっていた。いつか「ぶるうらんど」を絵にしてみたいと思う。
西脇の先祖の墓に今度生前墓(寿陵)を作りました。祖父母、父母、われわれ夫婦に子供の名を刻んだ墓です。生者の名前は赤字で印されていて、なんでも長生きをするという。そのために建てたわけではないけれど、より生と死が地続きになったようだ。
和恵さん
兵庫の「冒険王」展開催早々にありがとうございました。後半になると人の肩越しに(世田谷美術館の場合)観ることにならないためにも早目の方がいいです。それから魔除け猫のストラップは細長い赤い酢昆布の箱のようなものの中に入っているので、気づかれなかったか、それとも初日に(何しろ数が少ないので)完売したかも、係りの人に聞いてみてください。
豊岡恵子さん
兵庫のオープニングには着物なんか着ていませんよ。その方は多分世田谷美術館の学芸員の方です。ぼくはアロハにソフト帽です。Y字路の写真を美術館の方で募集しています(チラシ参照)のでみつけたら送ってください。8月の公開制作時に描きます。
かおりさん
ぼくが蟻向けのフェロモンを出しているのか、蟻道と人間道を分けて作ったのに、人間道までわざわざ命知らずの蟻が上がってくるんですよね。マイッタ、マイッタ。
北島聖子さん
わざわざ西脇岡之山美術館まで足を運んでいただきありがとうございました。この日は墓参りをして東京に帰りました。神戸二泊、西脇一泊の短い旅行でした。
荻野幸子さん
どうも着物姿の人をぼくと見間違っている方が多いようですね。その方は短髪で眼鏡の世田美の学芸員の高橋さんです。それにしても兵庫はいいですよね。金、土が夜の8時まで開館しているなんて、ガチャポンの金猫の金の色がくすんでいるのでそれを当てた人はもう一度自分でピカピカ金で塗ってください。
小説「ぶるうらんど」を発表したせいか、文芸家協会の会員に推薦され作家の仲間入り(笑)することになりました。その推薦者は例えば若い島田雅彦さんや三浦雅士さんら作家、評論家ではなく、ぼくの場合はご高齢者(失礼)の作家、辻井喬氏、曽野綾子氏両氏の推薦によるものでした。なんだか複雑(いや単純か)な妙な(こそばゆい)心境でございます。
7月1日
◎戴いた本
根本隆一郎氏より「ヨーロッパ名画座」筒井たけ志/根本隆一郎編
◎戴いたDVD
兵庫県立美術館有志より「類猿人ターザン」「ターザンの復讐」「ターザンの逆襲」「ターザンの猛襲」「ターザンの黄金」「ターザン紐育(ニューヨーク)へ行く」「ボーナスディスク」
ターザン俳優ジョニィ・ワイズミュラーだけでなくレックス・パーカーのターザン映画のほどんどは観ている。ぼくの中の少年それ自体が冒険物語であると同時に、ぼくの少年の視線こそがぼくの創作の核である。
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