2012年8月31日
「別冊太陽」の特集号(一冊まるごと)が来年1月頃出版される。その監修者南雄介さん(国立新美術館)と平凡社の及川さんとミーティングをする。作品の選択は南さん。どんな作品を選んでくれるやろ。読み物としても面白くなりそう。あんまり、露出度の高くない作品が選ばれないよう希望する。風の出て来た夕方は太陽が強くても気持がいい。明日は直島に行く。
2012年8月29日
今日も体がこの暑さを快適なものとして感じ取っている。だから苦痛にならない。最後の仕上げを延ばしていたが、今日は一気に完成に持っていく。未完の間は自分のものだったけれど完成してしまうと急に自分から離れた存在になってしまう。でき上がった作品は早くアトリエから出てギャラリーに行ってもらいたい。作者は自分の作品(子供)に冷たいものだ。だから次へ行けるのだろう。
2012年8月28日
今日も熱中症向きのいい天気だ。この真夏の感覚を肉体に教え込ませようと思って、森を抜けて公園に出掛ける。背筋が曲がっていることに気づく。しばらく制作を続けていたからだろう。公園の木陰は風があって思ったよりも涼しい。やっぱり人出はない。カラスと蝉の鳴く声ばかりだ。それにしても夏の空は海の底のように青く、高い。子供の頃の「少年クラブ」や「漫画少年」や「野球少年」や「少年」の表紙絵の青空だ。ほうきで掃いた跡のような雲が頭上をゆっくり流れている。そんな中に温泉マークそっくりの雲が浮かんでいる。そしてヘリがどこからか近づいてきた。1時間ほど公園のベンチで本を読んでアトリエに戻ってきた。
2012年8月27日
土、日は制作三昧。昼は簡単な外食。運動不足なので過食は避ける。久し振りに古本屋に。買うものなし。猛暑の中自転車散歩。アンドーナツで胸やけ。猫の深夜のイエティの声で不眠気味。何んだか知らないが猫は頭にきているようだ。一日2回の風呂と制作は快適。あとは睡眠のみ。
2012年8月25日
耳鳴り、難聴克服を特集した健康雑誌と、別の本を買って目下研究中。まあ色々治療法はあります。スカイ・ザ・バスハウスでの個展のための3作目にとりかかっている。今夕はMoMAでトーク。ニューヨークのMoMAでの個展のあった72年前後の話と今後の予定などについて話すことになるんだろうな。本物の蝉の声と耳の中の蝉の声の区別が少しづつ出来て来た。
2012年8月23日
タマの雪男のような声で目をさます。なんてことない、腹が空いただけのこと。エサはあるので食べればいいのに、飼主に面倒を見てもらいたいだけのわがままだ。そんな夜中の突然の訪問者に疲れるので早朝、風呂に入る。アトリエまで自転車、。今日はサラ・ブライトマンの「ハーレム」を聴く。アラビアンナイトの物語が好きだから、ディズニーからポップス、ベリーダンス、民族音楽までアラブ音楽はよく聴く。絵の方もピンクシリーズの延長がアラビアンナイト風に変ってきた。
2012年8月22日
郷里から1日早く帰ってきて、今日は朝から新しいキャンバスに「死の島」をテーマにした絵を描き始めた。しばらくアクリル画は描いていなかったが、この作品と前作はアクリル画で制作した。油絵に比べるとうんと早く描けるのが特徴だけれど、絵具の層に奥行きがないので、どうしてもフラットになる。だから表現もフラットを生かした画風だ。今日も暑かったが、風があって外出は快適だった。ジワーッと来る暑さをいつもインドと比べてしまうので、そんなに苦にならない。あの40度近い暑さが懐かしくなることがある。
新作のMoMAのてぬぐいができ上がりました。明日、ホームページで写真を紹介します。
いつも新しい、自分でいたい。そう思いたいなら、いつも描いたことのない絵を描くしかない。すると、いつも新しい自分でいられるはずだ。
東京を出る時は宇宙旅行の気分だ。旅先きは地球外惑星だ。宇宙飛行士が宇宙体験を語る時、以前の地球人でないように語る。旅も地球圏外に出るような気分で帰還した時は別人になっていたい。
旅は環境を変えてくれる。もう何日も何十日も旅に出ている気分にさせてくれる。空間だけではなく時間の環境も変えてくれる。
絵は作るものではなく、作られていくものだ。他力本願とは違う何か特別なものだ。
自分の絵の中の優等生的な部分を破壊しなければ、ぼくの求める絵は描けない。
2012年8月20日
久し振りに故郷の土を踏んだ。少し涼しくなった頃、墓に参るが、まだ蒸し暑い。いつの間にか墓地にコケが生え始めていた。こちらは雨が多かったからだろうか。ホテルに帰って気がついたらバッグを墓に忘れて来た。最近は物だけではなく記憶も含めて色んなものを忘れてしまう。忘れて都合のいいものもあるけれど、そのまま思い出せないで事が終わってしまっていることが多い。それはそれでいいのだろう。だけど郷里に関しては、昔のことはよくおぼえている。地元の人は時間の流れの中にいるけれど、ぼくの場合は時間が止まっているので、その時間をいつでも引き寄せることが出来るようだ。
2012年8月14日
久し振りでエステに行く。一ヶ月ほど時間が空きすぎた。エステは月2回、マッサージは週一が一番いい。運動(散歩)しないで他人に運動してもらうんだから横着だ。体調を崩す前にマッサージで体を整えておくと少しは持つ。若い人には実感のない話だけれど、その内年を取ると実感するよ。今日は来客が多くて昼食をしたのは4時頃だった。
2012年8月13日
土日は制作だけで、人とも会わず、しゃべらなかったので、ある意味、至福の時でもあった。人に会わなかったり、しゃべらないことに子供の頃から孤独に慣れているので、全く苦痛にならない。ひとりっ子だったからだろうか。蟻、蝉、ホタル、キリギリス、クモ、魚などを釣っていたから、彼等が話相手だった。そのくせ虫や魚や鳥や植物の名前を憶えるのが苦手だった。それは今も変らない。名前はどーでもよかったのだ。絵も沢山見て、知っているけれど作者や名前は憶える気がない。知らなくても絵が描けるのでそれでいいのだ。
2012年8月9日
イッセイ・ミヤケのパリコレのインビティションカードのデザインの打合せをする。70年代の初頭からだから40年も続いている。年2回だからすでに80点の作品ができているはずだ。数年前富山県立近代美術館で、これらを集めた一生さんとのコラボレーション展をしたことがある。一生さんがパリコレを止めてからも若いデザイナー(現在三人目、宮前義之さん)とのコラボだが、皆んな優秀なデザイナーで、刺激を受けることが多い。
2012年8月7日
タマが4日振りに退院した。特に病気ではないが、老化による夏バテらしい。クーラーが嫌いだったけど、病院でクーラーに慣れたのか、クーラーのあるぼくの部屋が気に入ったらしく、部屋から出ない。昨日は装幀集に掲載される2000点以上の作品1点づつにコメントが欲しいという編集部の意向がクレージーなので、こちらもクレージーになって応えることにした。
今日は早朝出勤を止めて朝風呂に入る。風呂のあと体が冷えて眠くなるので、晩風呂の方がいいけれど、夜中にトイレに立ったあとナデシコのフランス戦を観てしまい、睡眠のバランスが崩れ、体がムズムズするので朝風呂でバランスを取った。
2012年8月5日
日曜日は安息日ということでゆっくりしたいところだが、制作がある。考えてみれば制作中が一番休んでいるのかも知れない。世俗から離れるだけでも休息になる。仕事の合間に街と公園の散歩で時間をつぶそう。
2012年8月4日
土、日は原則として人に会わないことにしている。だから必然的にしゃべらないことになる。それにしても晴天が続くが、インドみたいに一日に1〜2回スコールが降ってくると気温が下がって身体にもいい。川の鯉のためにも。
2012年8月3日
6時起床。朝食のあとアトリエへ。もうすでに陽光は強い。一昨日、 タマのことで深夜ばたばたしたために就寝時間が狂ったせいか、昨夜からやや寝つき悪い。習慣にならないようにしよう。8月は出勤を早めることにした。山田風太郎さんの「戦中派闇市日記」が文庫になった。早速買おう。前作「戦中派焼け跡日記」も合わせて読もう。その前の「戦中派不戦日記」が面白かったからだ。ぼくの世代はやっぱり、ここが生きる原点になるんだなあ。今の若い人の原点は何?
2012年8月2日
昨夜は京都造形芸術大学・東北芸術工科大学外苑キャンパスの講演の帰りが遅くなり、タマの深夜の熱中症もあってやや不眠気味。暑さの中の不眠の快感もそう悪くない。時々 襲う睡魔にまどろみながら、頼りなく絵筆がキャンバスの上をころがる。午後熱中の街に気分転換に出掛ける。
2012年8月1日
喘息でかかっている病院に行く。薬によって声がかすれたり、出にくいことがあるので、そんな相談を。一昨年、別の病院で前立腺肥大と診断されたが、色んな検査の結果、肥大もガンの心配ないことがわかった。病気に限らず、心配材料はひとつづつ、つぶしていくことにしている。すると年中そのことで忙しくなる。熱中症を避けているよりも、多少は暑さを受け入れて真夏気分を味わおうと思って、街を歩く。そー悪くない。